村田製作所、財団法人新技術開発財団第43回「市村産業賞本賞」受賞

2011年04月18日 11:00

 村田製作所はこの度、「平坦化SiO2膜/Cu電極/基板構造小型弾性表面波デュプレクサの開発」の功績において、財団法人新技術開発財団第43回「市村産業賞本賞」を受賞した。

 「市村産業賞」とは、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献し、功績のあった技術研究者またはグループに贈呈されるもので、リコー三愛グループの創始者、故市村清氏が昭和38年に紺綬褒章を受賞したことを記念し、科学技術の普及啓発に資するとともに科学技術水準の向上に寄与することを目的として創設された名誉ある賞だ。

 表彰の対象となるのは、(1)独創的・画期的で世界的に見て高い水準にあるもの(2)その技術の実用化で新たな産業分野の創生や市場の拡大に効果が顕著なもの(3)産業・社会の発展に先導的な役割を果たし波及効果が大きく期待できるもの。

 「デュプレクサ」とは一般的には聞きなれない言葉だが、送信アンテナと受信アンテナを共用するために送信経路と受信経路を電気的に分離して送受信するアンテナ共用部品のことで、送信と受信を同時に行う携帯電話などの通信機器においては必須のものとなる。今回の授賞対象となった、村田製作所のデュプレクサは、携帯電話用に開発されたもので、温度特性を改善し、十分な耐電力性能も備えている。

 これまで、温度特性が良好な誘電体デュプレクサは形状が非常に大きく高価なため、小型で低価格な弾性表面波(SAW)を用いたデュプレクサが望まれていた。ところが、SAW素子の温度特性には多くの課題があり、温度安定性に優れたSAWデュプレクサは実現できなかった。しかし今回、村田製作所が独自に開発した弾性表面波デュプレクサは、従来の誘電体デュプレクサに比べ、約40分の1もの小型化に成功した。これにより、携帯電話の小型化、低消費電力化、マルチバンド化に大きく貢献することが高く評価された。

 受賞者は、代表取締役社長村田恒夫氏をはじめ、技術・事業開発本部 門田道雄氏(門田研究室室長)、同じく、技術・事業開発本部開発1部係長・中尾武志氏、EMI事業部 商品開発部主任 西山健次氏。

 また、本賞の村田製作所の他、「功績賞」には日立電線と東芝メディカルシステムズが、「貢献賞」には、日産自動車、日本電気、新日本製鐵、日本郵船、パナソニック、パナソニックエレクトロニックデバイス、豊田自動織機、昭和電工が受賞している。