止まらないコーヒー豆の高騰、各社の打開策とは

2011年03月07日 11:00

 2010年は南米、カナダ、インド、米国など各生産国で天候不順が続いている影響で、コーヒー豆の価格が6月ごろから上昇。価格の指標となるニューヨーク市場での「アラビカ豆」が現在、年初価格の2倍前後で推移しており、14年ぶりの高騰が続いている。また、天候不順以外にも、中国などの新興国での富裕層が増えたことによる需要拡大も今回の高騰の大きな原因と言われている。

 このコーヒー豆の価格高騰を受け、インスタントコーヒーの最大手、ネスレ日本は3月1日の事業戦略発表会で、「この状況が続けば再度値上げしなければならない」と語り、今秋にも再値上げを検討することを明らかにしている。同日からインスタントコーヒー23品目の出荷価格を平均11%引き上げてはいるが、予測以上のコーヒー豆相場の高騰が続いているため苦肉の決断も考えているという。また、レギュラーコーヒー2位のキーコーヒー も同日より、平均15%出荷価格を引き上げている。しかし、消費環境を考えると単純な価格転嫁は難しいとの現場の声も多く、値上げが店頭ですんなりと浸透するかは難解な状況だろう。

 AGFは、4月1日出荷分より家庭用インスタントコーヒー32品目の価格改定や、「ブレンディレギュラー・コーヒー 460g」シリーズ4品及び「マキシムレギュラー・コーヒーちょっと贅沢な珈琲店 360g」シリーズ4品の容量変更を実施する。さらにUCC上島珈琲は3月10日から家庭用レギュラーコーヒー製品のメーカー出荷価格を値上げ・容量を調整。また直営の挽き売りコーヒー店での主要アイテムの販売価格も1キログラムあたり200円から300円の値上げに踏み切っている

 このようにインスタントコーヒー業界が軒並み値上げを決行している中、缶コーヒーを取り扱う清涼飲料水メーカーの動向も気になるところだ。

 昨年、発売35周年を迎えた「ダイドーブレンドコーヒー」をメインに、缶コーヒーが主力ブランドとなっているダイドードリンコ も、今回のコーヒー豆の高騰ぶりには困惑は隠せない。3月1日に東京で実施された個人投資家向け決算説明会で?松社長は「缶コーヒーが主流のわが社にとって、コストを占めるウエイトが大きく苦慮している。しかし、自動販売機を主力に販売を展開している当社にとって、10円単位以外の値上げはやはり考えがたい。原材料の高騰による利益率のインパクトはかなり高いが末置かざるをえないのが現状だ。その分は容器や梱包する段ボールなど、商品の内容とは別の諸費用の見直しを行い、またオペレーション部分や営業面などで徹底した効率化を推し進め、徹底したコストコントロールを実施することで、価格の値上げは行わない方向でいる」と答えている。現段階では、缶コーヒー市場で最も多いシェアを誇る日本コカコーラーの「ジョージア」や、BOSSシリーズが人気のサントリーも缶コーヒーの値上げを検討しているという情報はまだ流れてこない。

 今回、需給のバランスが崩れたことが大きな要因となっているコーヒー豆の高騰が、いつ落ち着くかは現状で分からないのも事実だ。日本人は1日1杯缶コーヒー飲むという通説があるだけに、今は値上げが缶コーヒーにまで及ばないことを祈るしかない。