2011年度中の創設は見送られた、軽自動車の自動車税アップが盛り込まれた「環境自動車税」。だが、2012年度導入へ向けての動きもあり、その動向が注目されている。
「環境自動車税」導入の方向に向けてのニュースが報道されたのは昨年9月。その中に盛り込まれた軽自動車が実質、税金アップされるという項目は、取れる所から取る的な考えが見受けられ、またしても国民の怒りを買うことになった。この新税は、総務省が地方税として新設を要望したものであったが、昨年11月に2011年度税制改正大綱では結論が見送られた。軽自動車の増税が項目として設けられていたために、政府・与党内での反発が強かったからだが、先送りされただけで2012年度改正の議論は今後も行われる。
そもそも普通車と軽自動車の税の不公平感を訴える声は今に始まったわけではなく、営業車両の優遇税と共に、常にやり玉に挙げられてきていた。ただ、例外的な措置として増税は行われずに来ただけだった。しかし、今回の増税は”グローバル・スタンダード”でもあるCO2削減を盾に民主党のマニフェスト実現を全面に押し出す事で、その導入を目指しているのだ。マニフェストの中には、ガソリン税・軽油引取税・自動車重量税・自動車取得税の暫定税率は撤廃し、将来的にはガソリン税と軽油引取税は「地球温暖化対策税(仮称)」として一本化し、自動車重量税は自動車税と一本化すると謳われており、確かに”一本化”の部分は達成されるかもしれない。だが、実際このクルマに関連した減税対策は”減税”になっておらず、何も実現されていない。
そんな中で総務省の報告する「環境自動車税に関する基本的な考え方」の中に、軽自動車の増税が盛り込まれてあったからの「またか…」なのである。不公平感をなくすための軽自動車の増税は、ユーザーからみれば、今後ライフラインである”足”を奪われる事への危惧なのだ。現代の軽自動車の立場として、一番多くを占める『地方ユーザーの足』に対しての認識不足を政府は改めて解消しなければ、反発は必至だ。戦後のクルマ普及の役割はすでに終わり、公共交通機関が不便な地域の主たる交通手段が何かということに、総務省関係者は着目してからでないと、この議論は進まない。
昨年11月の税制調査会の場で、総務省は「軽自動車は地域の足として重要、位置付けは変わらない」としながらも、「軽自動車と小型車で税負担の不公平感があるのは事実」とも言っており、格差を縮める具体的な着地点はどこなのか、今後の議論に注目が集まる。
また、こういった動きに対して、日本自動車工業会は「本来廃止されるべき自動車重量税の存続を前提としており、制度論以前の問題として容認できるものではない」と表明しており、さらに「国際的にも日本の自動車関連の税金は高すぎる」とも付け加えている。そして、同団体は今年を勝負の年と捉えており、春から夏にかけて関連団体や自動車メーカーと共に、この税制問題に対し、何らかのアクションを起こす構えだ。