中国との領土問題の悪化により、現在、同国を基盤に事業を展開してきた日系企業は、新たなる地域を模索している。なかでも期待されているのが、インドシナ半島のメコン川流域周辺地域である「メコン経済圏」だという。
「メコン経済圏」にはカンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、ラオスがあり、総人口は約2億人を超えている。タイやベトナムへの日系企業の進出は数多いが、ここ数年、特に注目されているのがラオスである。位置的にもインドシナ半島の真ん中にあり、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、そして中国と国境を接しているため、物流の主要拠点となっている。また、2001年以降の10年間で、名目GDPは平均で約7.1%という高い成長率も魅力だろう。
そのような状況下、ニコン<7731>はデジタル一眼レフカメラの生産体制の強化およびコストダウンを目的として、新たな工場をラオスに設立、2013年10月の操業開始を予定している。同社は、デジタル一眼レフカメラのエントリー機および中級機、交換レンズの一部をタイ・アユタヤ県にある、ニコンタイランド社で生産。今回ラオスに設立する新工場では、ニコンタイランド社で最終製品化するデジタル一眼レフカメラの製造工程の一部を担当する。
また、JCBの海外業務を行う子会社、ジェーシービー・インターナショナルは昨年、ラオスの大手商業銀行であるポンサバンバンクと首都ビエンチャンにて、ラオスにおけるJCBカード発行とJCB加盟店業務に関する契約を締結。ポンサバンバンクは2013年6月を目処に、加盟店でのJCBカードの取り扱い業務を開始するほか、2013年末までに、同国初となる現地在住者向けJCBカードの発行を開始する予定となっている。ジェーシービー・インターナショナルは1994年にラオスへ進出して以来、主に日本人渡航者を対象とした加盟店網の構築に取り組んできた。今回の提携は、カード市場の成長が見込まれる重要な経済圏でさらにJCBカードの利便性を高め旅行者の満足度向上を図ること、また、現地消費者向けのカード発行を実現させることを目的としているという。
ラオスは2012年10月、世界貿易機構(WTO)一般理事会にてWTOへの加盟が承認され、2013年2月、世界貿易機関(WTO)に158ケ国目として正式に加盟している。これにより、今後、同国の経済の多角化がますます推進されるとの期待が大きく、日経企業のさらなる進出も加速化するものと考えられる、動向に注目していきたい。(編集担当:宮園奈美)