エステ広告のNGとは?大手「たかの友梨」にも改善命令

2013年03月24日 10:03

 エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」(株式会社 不二ビューティ)が美容効果を誇大にうたった広告を出したとして、東京都から景品表示法に基づく改善指示を受けた。同社は「幹細胞美顔トリートメント」の広告で、合理的根拠を示さず「細胞レベルでの若返り」と標記していたという。さらに期間限定で「特別体験」などと表示していたが、実際には期限を過ぎてもその価格が適用されていた。

 同社は改善命令を受けて広告を修正。現在はホームページ上に「幹細胞美顔トリートメント」というコースはなく、代わりに「スイス式新鮮細胞トリートメント」や「新鮮細胞マイクロ美顔」などの表示がある。

 エステサロン業界には次々と新しい技術が生まれているが、相変わらず、誇大広告や無理な契約などの消費者被害が後を絶たない。国民生活センターのHPには、痩身コースと一緒に薬事法上問題のある健康食品をクレジット購入させられた、倒産した業者と連絡がとれないなどの事例が数多く報告されている。

 エステは当然ながら医療機関ではないため、「治療」はできない。また広告上の表現にも制限があり、裏付け根拠のない比較写真の表示や、痩せたいところを細くする「部分痩身」が可能であるかのような表現はNGだ(薬事法ドットコム「薬事法ルール集」による)。

 しかしエステサロンの広告には、「スッキリした下半身を目指す」「肌色が明るく」など、あいまいな表現が目立つ。さらに今回の「たかの友梨」の一件により、大手でさえ違法な表現や料金設定を行なっていることが明らかになってしまった。これらの広告を信じて、多くの(主に)女性は決して安いとはいえない費用をエステに支払うこととなる。

 エステティシャンには公的な資格はなく、1972年に設立された日本エステティック協会などが認定する独自の資格制度があるだけだ。美容師のような国家資格があれば、悪徳な被害も多少は減るかもしれない。だが明確な治療効果のある施術が認められていない「エステ」に、国が何らかの基準を認定するのは難しいだろう。市場が縮小する中で、業界は消費者の信頼を回復できるだろうか。