ヤマハ発動機、人材の重要性を考え新卒採用枠を大幅にアップ

2011年02月04日 11:00

 企業にとって優秀な人材確保することは、今も昔も何より重要な課題であることは間違いない。システム化がどれだけ進んでも、やはり人の発想力やコミュニケーション能力を機械で賄うことはできない。

 しかし新卒の採用状況は相変わらず厳しく、2010年卒業学生の内定保有率は76.0%で前年比11.0ポイントの大幅な減少を記録し、学生の平均内定保有社数は1.71社だったという。(毎日コミュニケーションズの就職活動状況調査)2011年も就職が決まらないまま卒業した学生も多く、年々増加しているのが実状だ。

 各社、新しい戦力を加えたいものの、不安定な経営状態から人員削減を余儀なくされ、やむなく採用人数を減らしている。そんな中でも、将来を見据え、新卒採用枠を大幅に増加させている企業もいくつかある。その一例として、ヤマハ発動機<7272>が、2010年は71人、2011年は33人だった新卒採用枠を、2012年には140人にまで広げる方針を固めた。

 今回、大幅な採用を実施するものの、ヤマハ発動機も2011年度は生産系技能職の採用を27年ぶりに0人とした経緯がある。これは欧米など先進国向けの高額商品の急激な需要減退の影響で本社工場の生産規模事体が縮小したため、やむなく決断したものだ。しかし2012年度は、企業成長、組織機能維持に支障をきたさない規模の採用を中長期的に実施するため採用再開に踏み切った。

 この不況の中、どれだけ先を見据えた経営を考え、現状の業績を踏まえつつ新たな戦力を取り入れることができるのか、各社、試行錯誤を繰り返している。