年末商戦を迎え、ビール系飲料のシェア争いの行方は

2010年12月16日 11:00

 忘年会をはじめとしたイベントごとが多く、何かとお酒を飲む機会が多い年末は、ビール業界において夏季に次ぐ需要期である。そんな中、2010年のシェア争いが終盤戦を迎え、メーカー各社がラストスパートをかけている。

 2010年1~9月のビール系飲料(ビール・発泡酒・第3のビール)の課税出荷数量シェアでは、アサヒビールが37.2%で首位、0.2ポイント差の37.0%でキリンビールが2位となっており、激しい首位争いの様相を呈している。2位のキリンビールは、第3のビールで圧倒的な支持を集める「のどごし〈生〉」を武器に年末商戦でラストスパートをかけ、逆転を狙う。「のどごし〈生〉」は、2010年の累計販売数量が、昨年より約2週間早い11月9日に4000万ケース(大瓶換算)を突破し、第3のビール市場にて6連覇を達成することが確実視されている。

 上位2社からは大きく水をあけられているが、3位のサントリーと4位のサッポロビール ?2501? も健闘をみせている。上位2社が前年同期比でシェアを落としている(アサヒが0.1ポイント、キリンが0.9ポイント)のに対し、サントリーが0.5ポイント、サッポロが0.4ポイントと、僅かではあるがシェアを拡大させており、下位2社が上位2社のシェアを食った格好だ。要因としては、高価格商品と低価格商品の”2極化”の流れに乗り、共に高価格商品の「ザ・プレミアム・モルツ」(サントリー)と「エビス」(サッポロ)が好調だったことが挙げられる。「金曜日はプレモルの日」(ザ・プレミアム・モルツ)というフレーズとともに高級感を打ち出して第3のビールとの差別化を図るなどで、消費者の購買意欲を煽ったといえる。

 シェア争いに関しては、数字が表すとおり上位2社の一騎打ちであるが、それに次ぐ2社が年末商戦を経て、来る2011年に向け今後どのような対抗策を打ち出していくのかも見ものである。