飽和状態のホームセンター、今後の展開は

2010年12月14日 11:00

 ホームセンターが飽和状態に突入。2010年3月決算によると、トップのDCMホールディングス、ニトリホールディングス、コメリ、コーナン商事と続く上位企業のなかで、ニトリホールディングスを除き、売上高の伸び率は鈍化している。

 売上を伸ばしているニトリホールディングスは、現在も日本全国に出店し、店舗拡大を続けている。山陰地方には最後まで未出店だったが、2010年9月に鳥取県米子市に出店を果たし、未出店の都道府県は島根県のみとなっているが、2011年2月には島根県松江市に出店予定。日本国外も台湾に5店舗を構える。また、国内の学習机は年間7万7千台も販売し、全国シェアで日本一に。家具とホームファッションを共に扱う「ホームファニシング」として、他のホームセンターとは一線を画した展開が好調につながっているようだ。

 しかし、売上トップがイコール人気店となっていないという面白いデータもある。2010年10月にインターネットにより、マイボイスコムが全国の男女1万1966人に調査したところ、「どのホームセンターを最もよく利用していますか」という問いには「コーナン」と回答した人が16.7%と最も多く、次いで「ケーヨーD2(デイツー)」(9.2%)。以下「カインズホーム」(8.2%)、「東急ハンズ」(8.0%)、「ホーマック」(6.7%)という結果になっている。

 コーナンをよく利用する理由では「駐車場が大きく、同じビルに家電量販店、スーパーが入っていて一度に買い物を済ませられるから」という声が多かったという。これは大阪府中心部に家電量販店、食品スーパーと1棟同居型タイプの店舗が多くあり、利便性を獲得した結果だと考えられる。同店は12月8日には香川県、多度津店にオープンし、これで2010年の出店数は12店舗を数える。売上に直接つながってはいないが、その勢いは不況下にあっても健在といえる。

 年末の大掃除など季節の恒例行事により、12月はホームセンターが1年で一番、活気づく時期といえる。しかし、ここ数年、着実に伸び率を増加してきたホームセンター業界も、近年の郊外型ショッピングモールやアウトレットモールなどの台頭、また既存のスーパーやディスカウントストア、ドラッグストアも大型ショップとしての乱立もあり、各社、方向性を模索している。

 今後、どんな展開をしていくのかは未知数だが、2006年9月にカーマ、ダイキ、ホーマックの3社が経営統合し、DCMホールディングスが誕生。現在の売上高でホームセンター業界首位に浮上したことを見ても、こうした再編が活発化することも考えられる。2011年、注目したい業界であることは間違いない。