食品メーカー、様々な業務提携により経営安定を模索

2010年11月29日 11:00

 昨今の飲料食品業界は、消費低迷や世界各国の天候不良による資源価格の高騰、低価格競争の激化などで経営環境は悪化。打破するために安価による原料調達や斬新な商品開発力、生産、物流の効率化など、他社との差別化を推進することが一層求められている。そのような中、各社個々の強みをいかしつつ様々な形の提携や協業を行い、生き残りをかけている。

 サッポロホールディングス <2501>と協同乳業は11月10日付で業務提携に関する基本合意を締結、詳細な検討、協議を進めている。基本合意の内容は、生産管理・製造技術、原料加工処理技術等の共有などの生産技術・研究開発に関する提携や、協同乳業が持つ牛乳宅配ルートを通じた、サッポロ飲料の商品販売拡大など。また、両者グループの関係をより緊密なものとするため、サッポロホールディングスは協同乳業の発行済株式総数の5%に当たる50万株を2010年中に取得する予定だ。

 三井物産 <8031>と中国最大級の食品グループである光明食品は、包括的な業務提携を結ぶことで合意、9月8日に覚書を締結している。光明食品は、上海市政府傘下の食品企業群を統合する形で2006年に設立。三井物産は国内だけでなく、中国食品業界において川上から川下に至るまでの幅広い事業分野を持つ光明食品の事業経験、基盤、ネットワークなどを活用し、食料事業の更なる国際化と中国国内における事業の発展と領域拡大を目指すという。

 また本年当初、3月9日には食品業界の景気を左右する業務提携として、日立コンサルティングと、日本オラクル <4716>が食品業界向けのソリューション提供が実施されている。日本オラクルの「Agile Product Lifecycle Manegement for Process」は、食品業界向けの商品開発管理アプリケーションで、商品の企画から商品化までの情報を一元管理できるシステムを構築。同システムを活用することで、商品開発のリードタイムの短縮やコスト削減を図ることができる。これまで日立コンサルティングは食品業界向けに、商品販売戦略策定や新製品投入などのコンサルティングサービスを数多く提供してきた。この業務提携は、日本オラクルのシステムと日立コンサルのコンサルティング力を組み合わせたより質の高いソリューションの提供を各食品メーカーに訴求する点が注目を集めている。

 食品業界は現在もなかなか上昇しない消費低迷に直面している。そのためここ数年厳しい経営状態が続いているのが実状だ。各社何らかの策を練ることで、経営安定を模索するなか、今後も不況を乗り切るため食品メーカー同士ではなく、異業種間の提携や協業を行うことも考えられる。
(編集担当:宮園奈美)