SiCやGaN、市場の本格化はまだ数年先か

2013年04月03日 16:32

 日進月歩で進化を続け、巨大市場となっている半導体市場。半導体デバイス自体の高性能・高集積化、微細化、多層化も進んでおり、アルミ配線から銅配線への変更、層間絶縁膜の低誘電率化、平坦化工程の導入などにより、半導体材料の市場も絶え間なく変化している。

 富士経済研究所が実施した半導体材料市場調査によると、2012年の半導体材料市場は前年比0.6%増の3兆707億円。その内訳は、前工程材料市場が前年比99.8%の2兆1017億円、後工程材料市場が同102.4%の9690億円となっている。

 半導体材料の市場において、今最も注目を集めているのは、電力損失を大幅に低減する次世代パワー半導体に用いられるSiCやGaNといった材料であろう。これら材料は、ウエハと呼ばれる半導体基板を形成するものである。現在主流のシリコンウエハ市場は、スマートフォンやタブレット端末向けが好調で、数値演算などデータを加工・処理向けの需要が伸びたものの、パソコンの低迷、OSの軽量化の影響でメモリ向けの需要が伸び悩み、前年比1.3%減となった。一方で、GaNウエハはこれまで市場を牽引してきたBlu―ray用青紫レーザーダイオード向けが伸び悩んでおり、SiCに関してもLED向けが依然として市場を牽引している状況である。SiCやGaNに関しては、2014年以降に市場が本格拡大すると見られているが、現状では、期待ばかりが先行していると言えるであろう。

 2017年には、前工程材料市場が2012年比19.8%増の2兆5187億円、後工程材料市場が同22.0%増の1兆1826億円となり、半導体材料市場は3兆7013億円にまで拡大すると予測されている。この拡大にSiCやGaNはどれだけ寄与するのであろうか。今抱かれている期待を裏切らない成長を見せてくれるのであろうか。(編集担当:井畑学)