ダイドー、35周年を迎える看板商品で更なる売上拡充を狙う

2010年11月24日 11:00

 ダイドードリンコ<2590>が22日、2011年1月期第3四半期業績を発表した。同社グループは、景気低迷や競争激化など厳しい経営環境のなか、売上高を1159億1400万円(前年同期0.4%増)とし、前年並みにまで回復している。

 昨今の日本経済は、企業収益の改善など景気持ち直しが期待されたものの、急激な円高や株価低迷、悪化の一途を辿る雇用環境により、先行きの不透明感が継続している。飲料業界も夏場の猛暑により一過性的に効果が見込めたものの、消費者の節約志向は依然変わらず、また、低価格化による販売競争が激化している。

 こうした中、同社はグループ全体での総合力を発揮。特に飲料受託製造部門である子会社の大同薬品工業は、大手医薬品等有力メーカーからの受注が賢調に推移したことで、売上高を68億4100万円、前年同期比で3.8%増とした。近年、消費者ニーズはドリンク剤から健康食品やサプリメントへの流れに変わり、ドリンク剤と競合する商品が数多く発売されている。同社グループはこのニーズをいち早く掴み、従来のドリンク剤のノウハウを礎として、「美容と健康」を謳った女性向け商品を開発する体制を構築し、多方面にわたる受注を獲得したことが、今回の数字に表れたようだ。さらに営業開発体制の強化並びに生産体制の整備を年々拡充。昨今の厳しい経済環境の変化から大手医薬品等有力メーカーの生産スタイルが、「自社生産」から「OEM生産」にウエイトシフトしたことなどにより、安定した受注を確保できるようになった。

 また、飲料販売部門においては本年3月にグループ組織再編を行い、営業・生産・商品開発を中心とした「メーカー機能」と、自販機ネットワークの維持向上を狙う「オペレーション機能」に棲み分けたシンプルな「機能特化型組織」に移行。役割の期待を明確化させることで、全社員の意識改革を促進し、「自販機ビジネスモデルの再構築」を掲げ、持続的発展を展望できる堅固な収益体質の構築に努めている。自動販売機についても消費者に支持される注目度の高い新しい自販機の積極投入と、不採算先自販機の撤去やスクラップ&ビルドという投資効果に主眼を置いた設置ロケーションの選定を実施。採算性を一層重視した強固な全自販機の見直しに注力している。

 さらに前期より取り組んできた業務の全面的な見直しによる固定費削減など、徹底したコストコントロールにより利益確保に注力。その結果、営業利益は59億2600万円(前年同期34.7%増)、経常利益は53億8600万円(前年同期9.7%増)と前年実績を上回ったが、四半期純利益は24億8000万円と前年同期と比べ2.1%の減少となった。

 来期以降も雇用・所得環境の悪化やデフレの進展により、清涼飲料全体の消費に対する節約志向は継続し、企業間競争もますます激化していくことが予測され、同社にとっても厳しい経営環境が続くと考えられる。こうした状況を打開すべく、9月よりダイドーブレンドコーヒー発売35周年を機に、同商品のリニューアルと「ダイドーブレンドスペシャル〔微糖〕」という新たなラインナップを拡充。現在もテレビコマーシャルをはじめとした様々な広告展開を行い、幅広いユーザーの囲い込みとシェアの維持拡大に注力している。

 同社グループは今後も、主力商品群であるコーヒー飲料の需要を喚起しブランドをさらに強化させることで、より一層の販売拡大を目指す。
(編集担当:宮園奈美)