年々深刻化する地球温暖化問題。気象庁の発表によると、2010年夏(6月~8月)の日本の平均気温の平年差は+1.64度と、夏の気温としては統計を開始した1898年以降、最も高い数字を記録した。今後、何らかの対策を講じなければ、平均気温瓦ますます上昇し続けていくことが懸念されている。
そのような中、大阪市は、市民協働活動の一環として、2009年よりヒートアイランド現象緩和のための取り組みである「緑のカーテン・カーペット」という温暖化対策プロジェクトを公共施設などにおいて本格的に導入。この活動は、地域ボランティアの協力を得ながら、市役所や区役所、学校などの公共施設の屋上や壁面などで、ゴーヤやアサガオの緑のカーテンづくりやサツマイモの緑のカーペットづくりに取り組み、市民モニター31名の家庭などで栽培を実施するというもの。実際に、夏場の強い日差しを遮り建物の高温化を防ぐとともに、葉から水蒸気を出す「蒸散作用」が周囲の気温を下げる温暖化抑制効果として確認されたことが報告されている。
今年の夏も大阪市はこの取り組みをさらに広げていくため、自宅やオフィスビル、工場などで緑のカーテン&カーペットを栽培できる市民や企業を「緑のカーテン&カーペット いっしょにやりまひょ隊」として募集。大阪市は当初、250人程度の参加を見込んでいたが倍以上の申し込みが殺到したという。市民の温暖化に対する関心は予想以上に高かったようだ。
また、この広がりをさらに盛り上げようと、隊員向けには、植物の育て方の説明会や隊員同士の交流会の実施。さらにはゴーヤとサツマイモの苗を配布し、育てた緑のカーテン&カーペットを題材とした写真による「緑のカーテン&カーペットコンテスト」も開催。現在WEBで応募作品が公開されているほか、市内数ヵ所で作品を展示し、市民からの投票も受付している。
大阪市は現在、「いっしょにやりまひょ!大阪」と銘打って、大阪をいいまち、住みたいまちにしていくために市民、企業、NPO、そして市の職員がいっしょになって取り組んでいくという市民協働活動を実施している。今回の「緑のカーテン&カーペット いっしょにやりまひょ隊」もその一環。数多く在阪企業も参加しているが、大阪市に本社を置くダイドードリンコ もその1社で、市内の同社グループ3営業拠点がこの活動に参加している。また、同社は、この取り組み以外にも大阪市とは災害協定も締結。自販機が売上高の約9割を占める同社は、地域との共生を目指している点において大阪市の考え方と合致しているため、協働活動が増えていると考えられる。
今後も大阪市では、自治体や企業、市民が一体となり取り組めるような環境に関する様々な協働活動を展開しつつ、大阪の発展にまい進していく方針だ。
(編集担当:宮園奈美)