国の行政機関(41機関)からの個人情報の漏えい、滅失、き損事案が平成21年度中に321件発生していたことが総務省の調べで分かった。前年度(473件)より152件減少したものの、依然として安易なミスによる漏えいなどが続いていることが浮き彫りになっている。
また、321件中、84件の事案については関係者を刑事告発(1件)や懲戒(3件)、訓戒(80件)など、処分していた。
総務省のまとめによると、漏えいなどの事案、321件のうち、142件、率にして44.2%は誤送付、誤送信によるもので、次に紛失(94件、29.3%)、誤交付(51件、15.9%)、誤廃棄(7件、2.2%)と、基本的な管理により8割以上は漏えいなどを防止できたと見られる案件だった。また、誤送付、誤送信、紛失のうち、13件は郵便事業者や宅配便業者により生じたものだった。
一方、盗難によるもの(5件、1.6%)やウイルスによるネット上への流出(4件、1.3%)など、技術的安全管理や盗難防止装置など物理的安全管理の充実が求められる案件も後を絶たないであった。
事案発生の多い行政機関のトップは厚生労働省の96件、社会保険庁の67件、国税庁の57件で、3機関で全体の68.6%を占めていた。防衛省の漏えい案件では国家賠償請求訴訟が起こされていた。
各省庁では再発防止のため、職員に対する指導監督の強化、教育研修など組織的な安全管理措置をとっているほか、誤送付・誤送信防止措置、アクセス制御措置など物理的、技術的な面でも対応をすすめているとしている。
(編集担当:福角忠夫)