住友電工、ロシアで高温超電導電力ケーブルの実証試験を実施

2010年08月26日 11:00

 住友電気工業<5802>は、同社のビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO」が採用された超電導電力ケーブルの実証試験を昨年12月ロシア・モスクワ市にて実施。ヨーロッパでは最大となる長さ200m、定格電圧20kV、容量50MVAの送電に成功し、納入先であるVNIIKP社からも高い評価を得ているという。

 高臨界電流特性を有するビスマス系超電導線は、2001~2003年にかけて実施された経済産業省の「高機能超電導材料」プロジェクトを通して生み出された高温超電導線。現在、日本国内で独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構が、2007年度から6年間の計画で実施している「高温超電導ケーブル実証プロジェクト」においても、同種の超電導線が使用される予定だ。

 今回試験が行われている200mの超電導電力ケーブルには、同社が納入したビスマス系高温超電導線「DI-BSCCO Type HT-CA」が約30,000m使用。本超電導線は、高臨界電流特性を有しながら、銅合金をラミネートすることによって高い強度をそなえている。

 現在、VNIIKP社では、この200mの高温超電導ケーブルに対して広範な追加試験が行なわれており、2011年に予定されている電力実系統への敷設に向けて準備が順調に推進。敷設候補地としては、モスクワ電力所管のディナモ変電所内が検討されている。

 今後、同社では世界中の超電導ケーブルの本格実用化に向けて、更なる高温超電導線の高性能化、量産化を進めていく。
(編集担当:宮園奈美)