2D映像に比べ、臨場感や迫力が特に優れていると注目される3D映像だが、国民生活センターは「3D映画を観て頭痛や眼精疲労、乗り物酔いのような体調不良に見舞われた」などの相談が寄せられはじめたとして(1)3D映像に体調不良を起こすおそれがあること(2)体調不良を感じたら視聴を中止すること(3)こどもに対して保護者がしっかり配慮することなど、注意を呼びかけている。
国民生活センターの消費者トラブルメール箱や全国消費生活情報ネットワーク・システムに寄せられている相談事例では「字幕版の3D映画を観た後、目の奥が痛み、物が二重に見え、数日続いた。友人と話していたら、特に字幕版を観た人に異常が出るようだとの話が出た」というものや「3D映画を一緒に観に行った中学1年生の娘が乗り物酔いのようになった。自分も眼精疲労と頭痛が起こった」などとしている。
国民生活センターでは「3Dに限らず、映像の視聴による眼精疲労や不快感、頭痛などの体調不良は業界や研究者の間では映像酔いなどとして知られており、生体への影響に関する研究や安全に関するガイドラインの作成も行われている。原理上、3Dが2Dよりも映像酔いを起こしやすいおそれもあると言われている。しかし、3Dが急速に普及し大々的に宣伝もされている中で、消費者にはそれらの情報がよく伝わっていないと思われる」とこうした映像を楽しむ上での注意を喚起している。
特に映画産業連合団体に対しては「劇場用映画では臨場感や映像効果をより強く感じる代わりに、体調不良を起こすおそれが高くなると考えられる。映画館ではできるだけ消費者がチケットを購入する前に3D映画は体質、体調により合わない場合があるという情報を知らせ、体調不良を感じた時の対処方法など、注意喚起してほしい」と要望した。
一方、一般家庭用3Dテレビやパソコンが出始めているおりから「家族で使用するテレビを購入する場合は、こどもも含めた家族全員で見に行き、こどもの見え方なども確認した上で選択するとよい。意外に見る環境も大事で、蛍光灯のちらつきに干渉したりする。3Dは水平方向が大事であり、従来のテレビのように寝転がって見るなどはできないし、してはいけない」と警鐘を鳴らしている。
(編集担当:福角忠夫)