“家族”を実感できる瞬間はやはり食事時?

2010年08月13日 11:00

 家族全員が集まって食事や談笑をするという意味の「一家団欒」という言葉と対照的に、最近よく使われるようになったのが「孤食」という言葉。「孤食」とは、”家族と同居しているにも関わらず、何らかの理由で一人で食事を取らなければならない”ことを意味する。フルタイムで働く母親や習い事に通う子どもの増加などによって、家族みんなで食事を共にする機会が減少しているのが主な原因のようだ。週末は家族が揃って食卓を囲む機会に恵まれることも多いが、家族間での生活時間のズレが広がる中で、なかなかその機会を活かせないという家庭も多いだろう。

 大手ハウスメーカーの積水ハウス<1928>が生活者の本音に迫ることを目的に編集・発行しているレポート「データぱる」には、家庭での食生活におけるそんな現実を表した調査結果が多く掲載されている。それによると、44.4%の人が、「食事の時に家族が揃うことは少ない」と答え、さらに、わずかでも「誰かと一緒に料理をすることがある」と答えた女性は36.7%にとどまる。

 そんな現実の中でも、理想として93.9%の人が「できるだけ家族揃って食事をしたいと思っている」と答え、64.8%の女性は「誰かと一緒に料理をすることが楽しい」と回答。さらに、96.1%の人が「子どもの食育のために調理を手伝わせるのはいいことだ」とも考えている。家族で食卓を囲めば子どもに食事のマナーを教えることができ、子どもと一緒に料理をすれば、目標設定力や感性の表現といった能力を身につけさせることができる上、豊かな心を育てるための情操教育にもなる。そして何より、不足している家族間のコミュニケーションを補うことが、期待される大きな成果の一つだろう。実際に、同誌によると43.0%の人が「一緒に食事をしている時に家族だということを実感する」と回答している。また、積水ハウスによると、家族の気配を近くに感じられる吹き抜け空間やリビング階段を採り入れる顧客が増えているということからも、多くの家族が潜在的にコミュニケーションの増加を求めていることがうかがえる。

 そういった中で家庭での食生活に危機感を持ち、見直すきっかけを探した場合、子どもたちの夏休みと親たちのお盆休みが重なるこの時期は絶好のチャンス。家族みんなで食事を共にし、調理を行うことを意識してみてはいかがだろうか。旅行や行楽といった特別なことをしなくても、普段の生活の中で家族みんなが”一家団欒”を楽しむことができれば、”家族”を実感できる充実した時間が過ごせるのではないだろうか。
(編集担当:上地智)