ミサイルが飛んでも市場は「平常心」を保つ

2012年12月13日 10:31

 いつもはろくなボールが飛んでこないヨーロッパから、12月のドイツの景気期待指数がプラス圏に急回復したという久々の好球がきて、ドイツDAX指数は年初来高値、為替はユーロ高に振れ、NYダウは78ドル高。FOMCで現在の「ツイスト・オペ」に代わる新たな追加の債権買い取り策が講じられるのではないかという期待も語られた。朝方のドル円は前日並み水準だったが、12日の日経平均は80.93円高の9606.25円と9600円台に乗せて始まった。その後も主力株中心に現物もひろく買われるしっかりした展開で、終始9560~9600円近辺の値をキープした。

 ボールではなくミサイルが飛んできたのが午前10時前。「北朝鮮がミサイル発射」の第一報が流れ、沖縄上空を通過してフィリピン沖の太平洋上に着水したが、為替が少し円安になっただけで東京市場にも韓国のKOSPI指数にも特に動きはなく、防衛関連株の石川製作所、豊和工業、東京計器は第一報直後に反応してもすぐに下落した。地政学的リスクは全くの空振りで、市場は「平常心」を保った。

 日経平均の終値は56.14円高の9581.46円で8ヵ月ぶりの高値。10日と同じ「寄り天」だが後場も9600円台にタッチして下落感はなかった。売買代金はやはり「FOMC待ち」「メジャーSQ待ち」「総選挙待ち」で、かろうじて1兆円に乗せた。

 買われた業種は不動産、証券、非鉄金属、海運、電機、鉄鋼と、金融緩和がらみと輸出関連株が揃った。ザラ場中に円安ユーロ高が進んでキヤノンやニコンが買われ、自動車株ではトヨタ、マツダが上昇。電機では液晶パネル「IGZO」を搭載したスマホの比率が高まると伝えられたシャープが17円高で続伸し、売買代金第1位。パナソニックは旧三洋電機のデジカメ部門を売却すると報じられて30円高で、ソニーは25円高だった。

 売られた業種は4業種だが医薬品、食品、保険とディフェンシブ系。エーザイは30円安、アステラス製薬は100円安。食品ではサントリーの飲料部門の中核子会社の上場が伝えられてアサヒHDが下げ、日本ハムも安かった。

 今日の主役は8円高(+10.12%)の終値87円で値上がり率5位の三菱自動車。ヨーロッパでの生産から撤退して年間150億円前後の営業損益の改善効果が見込めると報じられて上昇。現代自動車の価格攻勢を受けてヨーロッパで販売が低迷し、生産台数を維持するために値引き販売が常態化。そんな市場から退くだけでも業績にはプラスになる。ヒュンダイは三菱が70年代に韓国初の国産車ポニーに技術協力して以来、縁が深かった相手だけに、関係者の思いは複雑だろう。北のミサイルより、南のクルマのほうが怖い。