電力10社(東京電力、中部電力、関西電力、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力)の2013年度中間決算は、原発の停止で燃料費負担が増大し、8社が赤字決算となった。
現在、国内の原子力発電所は関西電力大飯原発の2基以外は停止中。電力10社の決算を見ると、原発の代替電源である火力発電のために調達するLNG、重油などの燃料費が10社合計で約3兆5000億円と、前年同期の1.4倍に積み上がっており、それが収益を圧迫している。水力発電の比率が高く燃料費の増加を抑えられた北陸電力、原発を持たない沖縄電力を除く8社が最終赤字を計上し、その純損失の合計額は6737億円にのぼる。
原発への依存度が4割前後の関西電力と九州電力の純損失は合わせて全体の約4割を占めており、この2社は電気料金の値上げの時期や幅など具体的な検討を開始したと表明している。依存度約4割の北海道電力や、東北電力、四国電力も値上げ検討を示唆。その一方で依存度15%の中部電力は「現行の料金体系を1日でも長く維持したい」、8%の中国電力は「できる限り現行水準を保ちたい」と社長がコメントしており、原発への依存度によって電気料金の値上げに対するスタンスが分かれている。
すでに公的管理下に置かれ料金値上げを実施済みの東京電力は2994億円の最終赤字を計上したが、前年同期の6272億円と比べるとほぼ半減した。通期予想の最終赤字幅は1600億円程度から450億円程度に圧縮され上方修正している。料金値上げの効果に加えて退職年金制度の見直しなどの合理化効果や資産の売却が進むためとしている。原子力損害賠償支援機構資金交付金として特別利益5450 億円、原子力損害賠償費として特別損失2350億円の計上を見込んでいる。
その他の電力会社の通期見通しの最終赤字幅は、東北電力が1000億円と東電の倍以上で、中部電力は600億円。黒字決算だった北陸電力も通期では70億円の最終赤字を見込んでいる。通期黒字は沖縄電力の47億円だけ。ただし半数の5社は「未定」として通期見通しを公表していない。原発の再稼働が認められれば収支状況が大きく変わってくるからというのが、その主な理由だという。東電を除く各社の通期の業績は原発の再稼働次第という面があり、逆に活断層の問題で大飯原発が再停止に追い込まれれば、関電はさらに苦しくなり、値上げ幅が拡大しそうだ。