移動権の保障うたった交通基本法制定へ

2010年06月23日 11:00

 国土交通省は公共交通の衰退により、自家用車を使える人と使えない人との間に移動手段の格差が生じ、自ら運転できないお年寄りや体の不自由な人たちをはじめ、公共交通がなくなり通学が不便になるなど、こども達にもしわ寄せが生じている地域もあるとして、都市、地方、離島を問わず自家用の交通手段と公共の交通手段の最適な組み合わせを再構築することにより「移動権」を保障するなどを定める「交通基本法」の制定をめざし、来年の通常国会に法案と関連施設の充実策を提案したい、と22日、発表した。

 「交通基本法」では「移動権」の保障をはじめ、マイカー通勤から公共交通を利用した通勤への誘導をはかることによるCO2排出量削減など「交通体系、まちづくり及び乗り物、三位一体の低炭素化の推進」、「地域の活力を引き出す交通網の充実」などを柱としている。

 国土交通省によると、公共交通の衰退により自家用車に頼らざるを得ない環境下で、自らは運転できないなど、移動手段が不十分なために買い物すら困難な人たちが全国で600万人にも達しているとの推計もある、といい、成熟社会の中で、こうした問題を解消するため、移動権の保障に取り組む必要があると説明。

 また、地球温暖化の最大原因となっているCO2排出量の2割を占める交通部門の90%は自動車が排出元であることから、自家用車から公共交通への誘導とともに、自動車自体を環境負荷の少ないものにしていかなければ政府が掲げる「2020年までに1990年比で25%の温室効果ガス排出量を削減する」との目標達成は困難で、交通基本法の中で交通分野の地球温暖化対策を位置づけ、CO2排出量削減に取り組みたい意向だ。

 あわせて、移動権の保障のためには地域の実態に合った地域公共交通を維持、再生し活性化させる必要があり、国の補助制度を充実させるとともに、可能な限り自治体や交通企業などによる地域の協議会の自主的取り組みに対して一括交付する仕組みに改めることも盛り込んでいる。
(編集担当:福角忠夫)