『生物多様性保全につながる企業のみどり100選』に認定された積水ハウスの「新・里山」。日本に昔からある里山を手本に、8,000平方メートルの敷地に水田や野菜畑、雑木林などを配している。6月には地元の子どもたちを対象に野菜や米づくり体験などの教育支援活動も行う。
国連が定めた「国際生物多様性の日」にあたる5月22日、財団法人の都市緑化基金は、『生物多様性保全につながる企業のみどり100選』の第1次選考で認定された50選を発表した。
この『生物多様性保全につながる企業のみどり100選』とは、同団体が今年の10月に名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け、生物多様性保全の推進を目的に、企業が取組む身近なみどりの保全・創出・活用の事例を募集し、その中から100の優良な取組み事例を”SEGES(社会・環境貢献緑地評価システム)生物多様性特別認定”100選として公表するというもの。選考にあたっては、有識者からなる選考委員会おいて書類審査が行われたうえで、SEGES評価認定委員会によって最終的に認定される。
22日の「国際生物多様性の日」には、最終認定を受けた50の事例が公表された。今回のテーマは「企業のみどり」で、積水ハウス <1928> の「5本の樹」計画に基づいた「新梅田シティ 新・里山」(大阪市北区)や、トヨタ自動車 <7203> の「トヨタの森フォレスタヒルズ」(愛知県豊田市)などの事例が、地球環境を視野に入れた、足元から取組む生物多様性保全活動の優良な取組みとして選出されている。
COP10の開催が迫り、国内でも”生物多様性”という言葉を耳にする機会も多くなってきた。しかし、この”生物多様性”をキーワードに自社の取組みをアピールしている企業の中には、本当に生物多様性の保全に貢献できているのか疑わしいところも数多く存在する。19日に(財)経済広報センターが発表した「生物多様性に関する意識調査」のアンケートによると、企業に対して、「実施中の事業活動について、生物多様性への影響の把握・分析および事業の進め方の改善に努める」(55%)、「事業計画の立案において、生物多様性に配慮する」(47%)など、事業活動に直結する事柄に期待している人が多いというデータも出ている。
その点においても、今回の『生物多様性保全につながる企業のみどり100選』ように、生物多様性保全活動の優良な事例を、環境省や国交省が後援となって評価・選定することには一定の意味があるように思える。日本が環境先進国として世界を牽引していくには、環境の取組みを徹底して行う企業の存在がさらに増えていくことを期待したい。
尚、「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」の残る50選は、今年の6月~8月にかけて募集し、10月上旬に発表される予定。COP10でも、出版物「生物多様性保全につながる企業の緑化活動100選(仮称)」を作成し、頒布されるという。
(編集担当:北尾準)