デンソー子会社、87億円を投じて国内工場の能力増強

2013年04月19日 14:59

デンソー<6902>のグループ会社であるデンソー東日本が、東日本での車両生産拡大に対応するため、同社の工場を拡張すると発表。これに伴い、従来から生産しているカーエアコンのほか、エンジンクーリングモジュール(ECM)も新たに生産を開始するという。なお、工場拡張に伴う投資額は約87億円で、2014年2月に完成、2014年5月から順次生産を開始する予定となっており、従業員数も現在の110人から2016年度には約220人にまで増加する予定とのこと。

 デンソー東日本は、2008年、デンソーの100%出資により設立されたカーエアコンの製造企業である。福島県の田村西部工業団地内に敷地を有し、今回の工場拡大も同所で実施される。拡張前の延べ床面積は約10600平方メートルであるが、これが拡張後には約32100平方メートルと3倍以上になる予定となっている。また、今回の拡張に合わせて太陽光発電や風力発電を順次導入するという。

 自動車業界においては、生産拠点の海外シフトが他の産業よりも活発である。近時でもニッパツ<5991>が、自動車用懸架ばねの生産会社をメキシコに設立すると発表。同時に、同社の連結子会社であるトープラも、メキシコに、ねじ、ボルトを製造・販売する現地法人の設立を決定したと発表している。また、横浜ゴム<5101>が、タイのタイヤ生産販売会社ヨコハマタイヤ・マニュファクチャリング・タイのトラック・バス用タイヤの生産能力を増強するため、第2次拡張工事を開始すると発表するなど、海外での生産に注力している。デンソーも今年3月に、ポーランドに自動車用メーターの生産会社を設立すると発表、カンボジアにも生産会社を設立するなど、海外展開を積極的に進めている。こうした中での国内工場拡張は流れに逆らうようにも思える。しかし、長らく叫ばれている産業の空洞化を防ぐには、国内での能力増強、雇用創出を歓迎すべきであろう。積極的な海外展開により日本の生命線とも言える技術が流出している現状を考えれば、こうした動きが他社や他の産業にも広がることを期待したい。)編集担当:井畑学)