バックモニタなど視覚確保用や先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)に採用されている画像認識用、ナイトビジョンなどの暗視用など、近年、先進国市場を中心に搭載の進んでいる車載カメラ。富士キメラ総研の調査によると、車載カメラモジュール(車室内をモニタリングする用途以外のカメラ)の市場は2010年に886万個の333億円であったものが、2011年は前年比122.9%の1089万個、2020年には5637万個の1563億円にまで伸長すると予測されている。
こうした中、パテント・リザルトが日本に出願された車載用カメラ技術について、参入企業に関する調査結果を発表した。特許分析ツール「Biz Cruncher」を用いて実施された本調査によると、「総合力ランキング」の1位がデンソー<6902>、2位は住友グループ、3位パナソニック<6752>となっている。なお2位がグループ化されている理由は、住友電気工業<5802>、住友電装、オートネットワーク技術研究所の3社による出願のほとんどが共同出願のためである。
デンソーの特許には、カメラレンズに付着した付着物を除去する「車両用操作装置」など注目度が高いものが多い。また同社は、2003年頃から出願件数を増加、その後一時減少しましたものの、再度件数が増加傾向にあることなどから総合力が高く評価されている。住友グループの特徴は、90年代後半からという他社と比べて出願件数が増加し始める時期が早いことで、プリズムに関する「車両周辺視認装置」が注目を集めている。3位のパナソニックに関しては、車載カメラの切り替えに関する「車載カメラ映像合成透視装置」が注目度の高い特許として挙げられるものの、近年出願件数は減少傾向にあるという。
矢野経済研究所の調査では、ADAS用キーデバイス/コンポーネント世界市場は2012年に982億円が見込まれ、同市場の2012年から2020年までの年平均成長率は19.4%で推移すると予測されている。中でも、前方検知カメラは 2012年から2020年までの年平均成長率は27.1%と著しい成長をするとみられている。前出富士キメラ総研の予測とは少し離れているものの、大きく成長すると予測されていることに変わりはない。今後の欧米における搭載義務化の動きや、サイドミラーのカメラ化などの動向次第では大きく化ける市場であるだけに、今後の動向に注目が集まるところであろう。(編集担当:井畑学)