サンフランシスコ講和条約が発効し、日本が主権を回復、国際社会に復帰して60年を迎えたとして28日、政府主催による「主権回復・国際社会復帰記念式典」が都内の憲政記念館で開催された。式典には天皇・皇后両陛下が臨席した。
安倍晋三総理は「サンフランシスコ講和条約の発効によって主権を取り戻し、日本を日本人自身のものとした日」とし、「(4月28日を)未来へ向かって希望と決意を新たにする日にしたい」と意義を語った。
そのうえで「世界の行く末に善を成し、徳を積む責務がある。日本を強く、逞しくし、世界の人々に頼ってもらえる国にしなければならない義務がある」とし「よりよい世界をつくるため、進んで貢献する誇りある国にしていく責任が私たちにはある」とした。
伊吹文明衆議院議長はサンフランシスコ講和条約の発効のもと、米軍の施政下に置かれた沖縄県民や奄美、小笠原の人たちに配慮した思いを語ったうえで「私たちが当たり前と思っている権利と義務の価値をもう一度かみしめる記念の日が今日なのではないか」と呼びかけた。
平田健二参議院議長は「平和条約の発効により国際社会の一員として第一歩を踏み出した。今日という日を契機に、改めて歴史を見つめなおすとともに、国際社会の平和と繁栄、この国の豊かな未来を確かに築いていけるよう決意を新たにしたい」とした。
竹崎博充最高裁長官は「20世紀を成長の時代と呼ぶことができるとすれば、21世紀は協調と調和を求めて人類全体の叡智が問われる時代だ。わが国と世界の平和と発展をこころから祈念したい」と述べた。
一方、沖縄では「米施政下におかれた屈辱の日」として、主権回復の式典を政府が主催することに抗議する大会が主権回復の式典にあわせ、同日、宜野湾市内で開かれた。社会民主党は主権回復の式典に抗議し、同日、談話を発表。「安倍総理の独善によって沖縄県民のこころは踏みにじられた。(天皇の式典参加には)天皇の政治利用の疑念がある」などと提起している。(編集担当:森高龍二)