社会民主党は9日、政府が予定している主権回復・国際社会復帰を記念する式典を中止するよう求める声明を発表した。
「サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に開催することが唐突に閣議決定された」とし「安倍首相はその理由を敗戦から7年間の長い占領期間を知らない若者の増加やわが国の国際社会の平和と繁栄への貢献の意義を確認するとしているが、沖縄、奄美、小笠原にとっては本土の主権回復と引き換えに、条約第3条によって米軍の施政権下に置かれ、日本国憲法は適用されず、警察権、司法権も及ばない状況に放り出された屈辱の日だ」と提起。
社民党は「切り捨てや苦難の歴史を無視した式典の開催に対して強く抗議し、中止を求める」と訴えている。
中止を求める理由には、ほかにも「サンフランシスコ講和条約の発効以後、本土では基地の縮小が図られる一方で、沖縄では銃剣とブルドーザーによる強制的な土地接収によって米軍基地の拡大が行われた。本土復帰後も『平和憲法の下での復帰、基地のない沖縄』は実現されず、在日米軍基地の74%が沖縄に集中し、県民の人権と生命の安全が侵害される状況が今日も続く『半主権状態』のままだ」としている。
そのうえで「沖縄県民の気持ちに十分留意して行うと安倍首相は言っているが、県議会の全会一致での抗議決議採択に見られるように、沖縄の民意は既に示され、沖縄県民の心を踏みにじっての記念式典など独善に過ぎず、断行は許されない。政府は半主権状態の改善に腰を据えて取り組むことこそ先決だ」と訴えている。
現行憲法護憲の立場の社民党は今回の政府の式典が「改憲の地ならしに向けたセレモニーである」と警戒感を強めており「米軍基地の整理・縮小・撤去、日米地位協定の全面改正に着手することこそ、真の主権回復であると考える」として抗議。政府の記念式典には福島みずほ党首も出席しないことを表明している。(編集担当:森高龍二)