【日経平均】3日続落で13800円を割り込む5月相場入り

2013年05月01日 20:25

 この日も決算発表、業績見通しの発表で明暗が分かれる。村田製作所<6981>の業績見通しは税引前利益76%増の1050億円で20円増配という内容がアナリスト予測を上回り30円高で年初来高値更新。一方、東京エレクトロン<8035>は今期業績見通しが43%の営業増益でもアナリスト予測に届かず205円安と売られ、日経平均を8円押し下げた。アナリストが出す数字はこわい。

 「最高益」という言葉が前日から頻繁に聞かれるが、KDDI<9433>は前期の営業利益が過去最高益でも15円安。JR東日本<9020>、JR東海<9022>は新幹線利用者が増加して今期は最高益を更新する見込みと発表し、JR東日本は150円高、JR東海は460円高で年初来高値を更新した。味の素<2802>は前期の経常利益が過去最高益の760億円で26円高。ヤマトHD<9064>は今期業績見通しで営業利益700億円と過去最高益を予想し、1円増配するのを好感されて34円高になった。

 シャープ<6753>は液晶パネル販売の不振が深刻で最終赤字予想が5000億円にふくらんだため17円安で値下がり率18位。2期連続の減収減益決算を発表したヤマダ電機<9831>は、山田昇会長が社長に復帰し、一宮忠男社長以下全取締役が降格という人事を発表し、株価が高値圏にあったこともあり100円安で4日続落している。証券株はマネックスG<8698>が200円高、大和証券G<8601>が6円高で年初来高値を更新し松井証券<8628>も1円高だったが、前日の反動で野村HD<8604>が20円安、SBIHD<8473>が68円安、岩井コスモHD<8707>が48円安で、JPX<8697>は650円安で値下がり率15位になっていた。

 この日の注目ポイントは「富士山」。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」が、「三保の松原を外す」という条件付きで富士山の世界文化遺産登録を勧告したニュースが前夜に入ってきた。富士山といえば誰もが富士急行<9010>の名を思いつくが、小田急電鉄<9007>も御殿場ファミリーランド跡地や富士宮市の朝霧高原などのレジャー施設を所有し、三菱地所<8802>も富士山周辺に広大な土地を所有する他、ファミリーランド跡の「御殿場プレミアムアウトレット」や「富士スピードウェイ」の運営に関わるなど縁は深い。富士急は150円高でストップ高比例配分になり株価1000円台を回復し、年初来高値を更新して値上がり率9位に入るなど派手に買われたが、小田急は関連会社の江ノ島電鉄が走る鎌倉が「世界遺産に不登録勧告」と決まった悪材料もあり5円安。三菱地所は不動産セクターが全体的に上昇する追い風もあったが10円高だった。富士山麓に水力発電の水源林を所有する東京電力<9501>は13円安、同じく水力発電所を持つ日本軽金属HD<5703>は2円安で、世界遺産は含み資産とはみなされない模様。観光が活気づき地元企業の資金需要が高まりそうで山梨中央銀行<8360>は7円高だったが、沼津市に本店があり富士山周辺が地盤のスルガ銀行<8358>は24円安。なお、登録地域から外す条件をつけられた「三保の松原」がある静岡市清水区が地元の清水銀行<8364>は20円高で、悪材料ではなかったようだ。登山靴を販売するヒマラヤ<7514>が後場上昇して141円高で年初来高値を更新したのは、富士登山ブームが起きる期待だろうか。(編集担当:寺尾淳)