今週の振り返り 1ドル100円手前の円高折り返しで続落の週

2013年05月05日 16:37

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ゴールデンウィークの谷間は売買も日経平均も尻すぼみで中・小型株の物色だけが盛んだった。

 SQ前の9日に奇っ怪なる14000円タッチ?

 今週は米欧の中央銀行の景気の現状に対する「温度差」があらわれた。5月2日のECB(欧州中央銀行)理事会では噂通りに政策金利を0.25%を引き下げて過去最低水準の0.5%とした。ヨーロッパの景況は依然として厳しい。一方、NYダウは史上最高値圏でも住宅や小売の指標が頭打ちで景気不透明感が出ているアメリカでは、5月1日のFOMC(連邦公開市場委員会)後の声明はFF金利もQE3も現状維持だったが、「雇用統計次第ではQE3縮小」という〃出口ニュアンス〃が漏れ伝わると「景気に不透明感が出てきたのに出口論議とは何事か」と市場はネガティブレスポンスを示した。

 3日に発表されたその4月の雇用統計は、非農業部門雇用者数の前月比の伸びは16万5000人で、ネガティブサプライズだった3月の8万8000人から急回復して市場予測の14万5000人を上回り、失業率は7.5%で3月の7.6%より0.1ポイント改善し市場予測を上回った。直後の為替は円安ドル高に転じ99円台に乗せ、ドル円レートの1ドル=100円の大台乗せも望めそうになってきた。

 今週の日経平均の4日続落をもたらしたのも、GWの谷間のせいでも国内経済指標でも企業決算でもなく、為替レート。為替感応度の高い大型株に手を出しかねて買いが中・小型株や新興市場に向かったのが今週の特徴だった。そんな状況が一変すれば14000円台乗せが視野に入ってくる。

 その1ドル=100円乗せや経済指標のサプライズ、要人の発言、新政策やニュースによる特定テーマの買いの盛り上がり、トヨタのような値がさ株の好業績などをきっかけに日経平均が取引開始時点から100円、200円と上昇すれば、その勢いで14000円にタッチするのも、底堅さや上昇時の推進力の強さが増している現在の地合いならば十分に考えられる。

 だが、14000円タッチには、そんな「正しいタッチ」もあれば、「ゆがんだタッチ」もある。

 来週は10日のSQを意識した動きが出そうだが、3月期決算の発表が集中して個別株物色主体の業績相場になる5月はSQもそれに埋もれてしまうのがふつう。ところが、日経平均が4月中に14000円にタッチできなかったのが尾を引いて、250円刻みのオプション取引主体のマイナーSQ日の午前9時台に出るSQ値が13750円近辺では満足できない勢力が「何が何でも14000円を取りにいきたい」と、9日あたりに日経平均の〃スーパードレッシング買い大作戦〃に出るかもしれない。それはありていに言えば、ファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>の「御三家限定ウルトラ大爆買い」で、TOPIXがマイナスでも日経平均は150円上昇というような奇っ怪な現象が起きて14000円にタッチし、14000円台のSQ値が出るというシナリオである。これこそ「SQ値さえ14000円台になればいい」というゆがんだ14000円タッチで、まさに今週、ブルームバーグの日本版でも痛烈に批判されていた日経平均の指数操作なのだが、来週それがSQをめぐってド派手に行われたら、特定銘柄大爆買いの無理がたたってその後の日経平均は大爆安になりかねない。

 だが、正しくてもゆがんでいても、無理をしてもしなくても、日経平均は14000円台には定着せずタッチするだけで終わることだろう。というのは、テクニカル的には13700円を割り込んだ2日の終値13694円でも25日移動平均線(13197円)に対しては約500円も上空に浮かんでいるからで、14000円まで上がると、今週割り込んだ5日移動平均線(13382円/2日)よりも上に出る。年初からのローソク足はだいたい5日移動平均線の上に沿って並んできたので、それを超えると上値は抑えられ下向きの圧力が加わる。だから14000円台は長持ちしないと思われる。

 さらに、どうしても気になるのは、日経平均の4月24日の急騰で13500円台に開いた「マド」がまだ埋まっていないことで、14000円にタッチする前に一度はそのマドを埋めておきたいという動きが出ると、来週の下値は13500円近辺になりそうだ。
 
 ということで、来週の日経平均の変動レンジは13500~14000円とみる。(編集担当:寺尾淳)