株式会社村田製作所が4月30日に発表した10年3月期連結決算は、売上高5,308億円 (前期比1.3%増)、営業利益267億円(前期は163億円の赤字)、税引前当期純利益347億円(前期は103億円の赤字)、当期純利益248億円(前期比590%増)だった。売上高は前期比微増だが、数量増による操業度効果や生産性改善、固定費削減により、利益が大幅に増加した。
2008年のリーマンショックを機に最終需要が大きく落ち込んだが、2009年の春先から市場が急速に回復し、夏場以降も各国の景気刺激策や中国等の新興国の需要拡大により好調に推移した。特に、第3世代携帯電話やスマートフォンなどの高性能・高機能携帯電話、個人向けノートPCや外付けハードディスクドライブ、液晶TV、カーエレクトロニクスの需要増が顕著であった。これにより、主力のコンデンサの売上数量が増えたほか、携帯電話や携帯オーディオプレーヤー向けに、無線LANモジュール、圧電スピーカーが好調だった。PC向けには、ハードディスクドライブ用のショックセンサが大きく伸びた。また、カーエレクトロニクスでは、ディーゼルエンジン燃料噴射用の圧電アクチュエータが売り上げを伸ばしている。日本国内では環境に悪いというイメージの強いディーゼルエンジンだが、EU諸国では昔から広く普及しており、ダイムラー社をはじめ、環境対策として積極的に研究・開発を進めている企業も多い。
11年3月期の連結業績は、売上高5,900億円(前期比11.1%増)、営業利益620億円(前期比131.9%増)、税引前当期純利益660億円(前期比90.4%増)、当期純利益440億円(前期比77.7%増)と、前期比で売上高、利益ともに大幅に増加する見通し。売上高営業利益率は10.5%と、2008年3月期以来の2桁に復活する見込み。2010年3月期に配当を年間100円から70円に減額していたが、2011年3月期は年間100円に復活する予定。
製品価格の下落や円高(予想前提90円)などのマイナス要因はあるものの、第3世代携帯電話やスマートフォンなどの高性能・高機能携帯電話、個人向け・法人向けのPCやサーバー、LEDテレビや3Dテレビなどの需要増により、次期も市場の拡大が期待できる。
(編集担当:藤原伊織)