住宅最大手の積水ハウス <1928> が建築廃棄物の資源循環の取り組みを加速させている。
同社は、住宅の施工現場等から排出される建築廃棄物について、熱回収を伴わない焼却や廃材の埋立処分を一切行わず、リサイクルを徹底するゼロエミッションの取り組みを平成12年より開始。生産工場をはじめ、新築施工現場、アフターメンテナンス部門、リフォーム施工現場と順次範囲を拡大し、ゼロエミッションを達成してきた。新築施工現場から排出される廃棄物については、施工現場で27種類に分別し、それらを自社の資源循環センターに運んだ後、さらに最大80品目に分別するという徹底ぶりだ。
これらのゼロエミッションの取り組みをさらに促進するため、同社は今年4月に入り、ICタグを廃棄物の回収袋に貼付し、建築廃棄物の発生量や種別などのデータを緻密に把握・分析できる次世代型のゼロエミッションシステムを今年の11月末までに全国展開することを発表。また、施工現場から出る石膏ボードをグラウンドの白線用粉末としてリサイクルし、5月から市販品として製品化するという新たな取り組みも発表している。
さらに同社は、近畿圏で建築する住宅の施工現場から排出される廃棄物について、これまでは3か所(滋賀県長浜市、堺市美原区、兵庫県加東市)にある集荷拠点でリサイクルしていたが、今後は同社の関連会社であるアルメタックス株式会社(大阪市)に処理を委託することを決定。これに伴い、アルメタックスは約10億円の設備投資を行い、今秋にはアルメタックスの栗東工場に(仮称)栗東資源循環センターを開設する予定だ。同センターの開設により集荷拠点を1か所に集約し、廃棄物処理の効率化を図る。積水ハウスは、住宅業界で第1号となる廃棄物処理法の特例制度「広域認定」を取得していることで、こうした多県をまたぐ資源循環システムを構築できるのだという。
住宅の建築には多種多様な資材を大量に使用するため、現場で発生した廃棄物のリサイクルを徹底するのは他の業界に比べ困難とされているが、同社は今後もこれらの資源循環の取り組みを積極的に推進し、住宅業界における先導的な役割を果たしていく方針だ。
(編集担当:北尾準)