厳しい環境下のカーナビ市場は、顧客満足度をいかに向上させるか

2012年10月29日 11:00

 矢野経済研究所によると、2011年のカーナビ世界販売台数は1090万台。これが2015年には1850万台にまで拡大されると予想されている。一方、国内の市販ナビは、自動車メーカー純正ナビ装着率の増加にともなう装着率の低下、PND市場の縮小、低価格帯ナビの台頭により、市場縮小が顕著となっている。

 J.D.パワーの調査によると、2012年の市況は、純正ナビの装着率がさらに増加し、市販ナビは新車購入者の5人に1人以下の装着にとどまっている。また市販ナビの中でも、ポータブルタイプのPNDの割合は一昨年の6割程度と縮小し、また、メモリーナビが据え置き型の約半数を占めるまでに成長し、低価格化路線に歯止めがかかる様子はないという。一方で、同社による自動車メーカー純正ナビ製品の顧客満足度調査によると、据え置き型HDDナビ、据え置き型メモリーナビ、PNDともに2011年より満足度が低下。高い顧客満足を得る商品・サービスを市場に供給しなければ、早晩商品のコモディティ化、陳腐化は必定な情勢であるという。

 高い顧客満足を得るためのサービスとして日本ユニシスが、パイオニアの電気自動車(EV)/プラグインハイブリッド車(PHV)用カーナビへの「充電インフラ情報配信サービス」を開始すると発表。「充電インフラ情報配信サービス」とは、パイオニアが発売するEV/PHV用カーナビゲーション向けに、充電インフラシステムサービス「smart oasis(スマートオアシス)」と通信ネットワークによって繋がっている充電スタンドの情報を配信するもの。満空情報の提供がより重要とされる、普通充電器のみを利用するPHV利用者向けにも、リアルタイムの状態情報(満空情報など)を提供する。

 また半導体企業のロームが、2つの無指向性マイクで鋭い指向性を形成すること(ビームフォーミング技術)で音声品質を向上させることができるデジタル信号処理LSI「BU8332KV-M」を開発。2つのマイクを10mmという短い間隔で実装できるため、あらゆる小型機器への搭載が可能だという。こうした技術の搭載が顧客満足度の低下を留めることを期待したい。

 スマートフォンの普及そしてアプリケーションの発達により、カーナビ市場がより一層厳しい状況となることは想像に難くない。この市場がどういった動向を辿るのか、注目が集まるところであろう。