農林水産省は同省所管の農業用ダムの総点検を行った結果を23日までに公表した。今回は建設中のダム15を含む190ダムが対象。このうち、地すべりによる貯水への影響など技術的に課題のあるダムが5ダム、アオコの発生に対応しなければならないダムが1ダム見つかった。
また、30ダムでダムの水利用の低いことが判明した。赤松広隆農林水産大臣は水の有効利用を推進するとともに、今後のダム建設についての姿勢として、「島しょ部を除き、国営事業で農業用の水源を確保するための新たなダム建設は行わない」との方針を示した。
このほか、現在建設中のダムでは、想定を大きく上回る浸透など技術的課題のあるものが2ダム、一部農家が事業に反対しているなど地元調整に課題のあるダムが1ダム、国土交通省の検証対象となっているダムが2ダム、関連事業による末端整備が必要な畑地かんがいダムが4ダムあることが分かった。
一部農家が事業に反対している宮崎県児湯郡南川町の切原ダムは1993年度に事業着手されたもので、2011年度の完成をめざし、現在、堤体コンクリートを打設中という。農水省によると、このダム建設には地域により温度差があり、一部農家は「負担金を払ってまで水はいらない」と附帯県営事業に参加しないとの請願書を知事宛に提出。県は今年4月から7月に農家の意向調査を行い、再確認した結果、7割以上がダム建設に賛成。9月の県議会で知事が事業推進を表明したという。農水省では、県や関係町などの意向を再確認する考えで、事業費は環境調査の追加分を含めても現行の290億円の範囲内で事業が完了できるとしている。
(編集担当:福角やすえ)