改正貸金業法完全施行控え 政府が検討会

2009年11月13日 11:00

 政府は改正貸金業法の完全施行を来年6月に控え、関係省庁で構成する検討会を発足させる。「構成メンバーや検討対象など、発足に向けた準備をすすめている」(金融庁)という。

 高金利での融資、多重債務による破産、自殺者の続発など、こうした問題発生を抑制するため、改正貸金業法では、来年6月完全施行をめどに、貸し出し額を利用者の年収の3分の1までとする「総量規制」のほか、貸出上限金利を現行の「29.2%から20%にまで引き下げる」よう規定している。

 これが予定通り施行された場合、「現行の経済状況下では住宅ローンなどローンを抱える個人や個人事業主に大きな影響が生じる」「サラ金業界も完全実施されると大変だ」として6月の完全施行に対し慎重論が出始めたためだ。検討会では総量規制なども検証されることになるもよう。

 総量規制が敷かれると、個人の年収が300万円の場合、借入れできる限度額は100万円になる。A社から100万円を借りた場合は他社からも借りられない。A社から30万円、B社から30万円を借りている場合、C社を含め、新たに借りられる額は40万円までとなる。また、個人が結婚している場合、配偶者の所得が60万円あれば年収は360万円として計算され、限度額は120万円になる。しかし、こうした総量規制が多重債務を防止する一方で、闇金融業者を暗躍させる土壌にならないかということも懸念されている。

 亀井静香金融担当大臣はさきのフリー・雑誌記者らとの会見で「基本的には、金融機関、政府系金融機関を含めて、ちゃんとした融資行動をしてきていないということ」と金融機関などの融資姿勢を指摘。「大銀行だって、自分のところで子会社をつくったり、そうでないところに資金供給して、高利で利益を得ようとすることをやっていたわけでしょう。自分のところが貸せば良いのです。20%以上の利息を払って金を借りなければいけないなどということは不正常ですよ」と金利引き下げ、総量規制を実施するとともに、金融機関が対応をすべきとの考えを示した。

 また、福島みずほ消費者・少子化担当大臣は「貸金業法は高金利や、そういうものの被害をなくそうと取り組んできたものです。ですから、消費者担当大臣としては貸金業法の完全な施行を求めていきます。銀行が困っている中小企業に対して、適正な金利できちっと貸し付ければいいんです。みんながうまく借りられないから、高金利でも借りたりということで問題となる。貸金業法の完全な施行こそ、消費者の利益を守る、消費者庁としてやるべきことだと考えています。これは頑張ります」と亀井大臣と考えを同じにしている。
(編集担当:福角やすえ)