アレンジ次第で食中酒にも──グレンリベットと食事のマリアージュは如何?

2013年05月19日 17:41

Glenlivet LineUp

グレンリベットのスタンダードラインアップ。左から12yo、15yo、Nadurra、18yo、21yo、25yo

 ウイスキーの販売が低迷しているのは「食中酒は健闘しているが、食後酒として認識されるハードリカーは売れない」という世界的な傾向そのものの現象だ。そんな現状を打開すべく、モルトウイスキーの販促担当者は、ここ10年ほど「シングルモルト・ウイスキーと食事(Dinner)とのマリアージュ」という課題に取り組んでいる。なかでも、スペイサイドモルトを含むハイランドモルト系ブランドが熱心だ。

 今回、The Glenlivet Alpha(グレンリベット・アルファ/別項で詳細レポート)の発表とテイスティングに合わせて、シングルモルト「The Glenlivet」すべてのレギュラーボトル・ラインアップとのフードマッチングを体験できた。会場はThe Glenlivet Alphaのテイスティングと同じ東京・新宿区河田町の小笠原伯爵邸だ。

 スターティングはコンソメのジュレ風ゼリーとアンチョビ&オリーブのトースト。あわせたのは薄めの「Glenlivet 12年のソーダ割り」、スパークリングワインのように極めて爽やかに愉しめる。自宅で飲るなら、「Glenlivet 12年」はフリーザーでキリキリに冷やし、冷蔵庫で冷やしたソーダを注ぐだけで、氷は入れない。グラスはシャンパンフルートがいい。

 2品目はマンチェゴチーズの香りを卵白で閉じ込めた一品と香草のアロマティックの前菜を「Glenlivet 15年の水割り」でいただく。この場合の「水割り」は、いわゆる氷が入ったタンブラーで供する“銀座クラブ系”の水割りではなく、モルトとミネラルウォーター(軟水に限る)1対2の「トワイスアップ」という飲み方だ。「Glenlivet 15年」でこれを作ると極スパイシーな“白ワイン”となる、是非とも試されたし。これも、自宅なら両方冷蔵庫で冷やしておく。

 その後、アスパラ(グリーン&ホワイト)と佐渡の蛸、ホタテのアロスメロッソとからすみのスライス、真鯛のフーゴと続く。18年と15年をミネラルウォーターと炭酸で適宜。なかで、真鯛は香り高い18年のソーダ割りが合う。白身のプリプリ感とソーダで割っても負けない香りと爽快感がマッチする。

 そして、特別なイベリコ豚の備長炭焼きに「Glenlivet 25年のオン・ザ・ロックス」をひと口、強いアルコールとモルトの香りが口腔内でイベリコの脂を溶かす……旨い。脂の乗ったステーキの類いには“重めの赤ワイン”が絶対と思っている方、「Glenlivet 25年&21年のオン・ザ・ロックスかストレート」を肉のグリルの一緒にどうぞ。これはラムチョップのグリルなどにも絶対にマッチングする。「21年モノの方がバランスがいい」という意見が多いので、お好きな方を……。

 赤桃のシャーベットがサクランボとともに今日されたデザートで、「The Glenlivet Nadurra」をソーダでいただく。比較的ドライな「Glenlivet LineUp」とスィーツの相性は悪いはずは無い。

 一般的にウイスキーと食事のマッチングはあまりよろしくない。が、グレンリベットのようなバランスのとれたスペイサイド系モルトは飲み方のアレンジ次第で“おいしい食中酒”となることが、今回のテイスティングでも証明された。

 ただし、すべてのシングルモルトが食事とマッチングするかというと、「否」と言わざるを得ない。

 個人的には、食事(夕食)を十分に愉しんだあとに、ゆっくり寛いで「Glenlivet」を味わいたいと思う。が、これはオヤジ趣味なんだろうか? (編集担当:吉田恒)