日本経済団体連合会は2010年度税制改正に関する提言を行った。提言は少子高齢化に対応した社会保障制度の確立を図るため、安定財源の確保が必要であり「社会保障費用の増加分は消費税率の引き上げによって賄うことが適切である」と断言している。
根拠としては「消費税は、他の税目に比して経済に与える影響が少ない」また「国民全体で広く社会保障負担を分かち合う財源として最も相応しい税目」であるというもの。
経団連は今年3月の提言でも「社会保障制度の建て直し・機能強化、少子化対策の充実等を図っていくためには、2015年度までに消費税率5%分(合計10%)の財源を確保する必要がある。高齢者医療・介護の公費負担割合の引上げ、基礎年金の税方式化など、社会保障制度の姿を完成するためには、2025年度までにさらに7~8%分(合計17~18%)の安定財源の確保が求められる」とし、「税制抜本改革の一環として、景気回復を前提に、かつ国民の理解を得ながら、段階的に消費税率の引上げを進めていく必要がある」とこれまでの主張を改めて強調している。
また、(1)内外からの企業の投資の促進を図り、国内の雇用水準を確保する観点から、わが国も30%を目途に法人実効税率の引下げを行うべき(2)所得税改革では、社会保障給付や納税に係る番号制度を確立する中で、課税最低限以下の世帯にも税額控除の効果が生じる「給付付き税額控除」の導入を図るべき(3)金融所得について損益通算の範囲拡大および損失繰越の容認など、一元的に課税を行う制度を実現すべき、などを提言。
このほか、環境関連税制については「環境目的に新たな負担を伴う新税を導入すること等については、エネルギー効率が相対的に低い他国への生産移転を助長し、地球全体では却って温暖化が促進され、また国内産業の空洞化につながる懸念があることなどから反対する」との姿勢を改めて明確にしている。
今回の提言では、印紙税ついても「インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展するなか、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税については合理性が失われており、公平性の観点から廃止すべきである」と廃止を求めている。
(編集担当:福角忠夫)