尖閣を領土問題として議論大いに 発言に批判も

2012年10月29日 11:00

 参議院外交防衛委員会理事の佐藤正久議員(自民)は民主党の最高顧問(外交担当)に復帰した鳩山由紀夫元総理が尖閣諸島の問題について「領土問題として議論を大いにしながら、日本の主張をしていくべきだ」とし「領土問題でないといくら言っても、相手が自分たちに主権があると言っている以上、議論しないといけない」と語ったことについて「これは政府の立場や自分が総理の時とまったく違う主張だ」と指摘したうえで「反省と責任感がない」と批判した。

 鳩山元総理の発言は中国出身の社会学者・遠藤誉筑波大学名誉教授の考えと同じ。同教授も「国際社会でいる以上、相手が言っていることは違うということをちゃんと冷静に説明してあげる場が必要」といい、「領土問題の存在を認めるまで、威嚇的な運動というか、そういうものを引き下げることはない」と尖閣周辺での中国公船の動きが止むことはないとして、日本は冷静に説明していくべきとの提案を専門の立場から提起している。

 ただ、日本政府は一貫して日中間に領土問題は存在しないと主張し、鳩山内閣時代も政府見解はそうだったことから、鳩山発言が与党内でも新たな混乱を招く可能性がある。

 鳩山元総理は『沖縄普天間の少なくとも県外』発言にはじまり、今回の『領土問題として議論を』発言まで「自らのポストを踏まえた発言にしては軽々過ぎるのでは」との声もある。(編集担当:森高龍二)