都市型コミュニティサイクルの社会実験始まる

2009年08月04日 11:00

 都市型コミュニティサイクルの社会実験がこの秋から、東京都心の「丸の内仲通り」とJRさっぽろ駅・大通駅を中心とした実験エリアで始まる。自転車の有効活用により、自動車に頼り過ぎない環境保全型交通システムを構築し、地球温暖化逓減と地域の活性化、新規雇用の創出を図ろう、というもの。

 環境省では実験データをもとに、日本型の都市型コミュニティサイクルのあり方について、今年度中に報告したいとしている。

 首都圏で実験に取組むのは株式会社JTB首都圏で今秋10月から12月までの期間を予定。札幌市内で取組むのは株式会社ドーコンで、9月下旬から約10日間程度の期間を予定している。

 これはJTB首都圏とドーコンが環境省の実験公募に応募し、採択されたもので、JTB首都圏では「実験を通じて、自転車再配置や貸出システム、採算性等持続可能なコミュニティサイクルシステムの構築に向けた検討を行うとともに、地区内における交通手段としての有効性や歩行者に与える影響、景観への影響、環境改善効果等の検証を行いたい」としている。

 ドーコンは「自転車再配置等に関する運営方法や貸出システムの効率的な運用方法、採算性、新たな公共交通としての公益性、環境改善効果等の検討を行いたい」という。

 環境省によると、パリやバルセロナなど都市型コミュニティサイクルの先進地では概ね自転車の貸し出し拠点が高密度(概ね300メートル間隔)に存在し、パリでは2万台、1500箇所に拠点があるという。また、利用料金は30分間無料で長時間になるほど高額になる料金体系をとることにより、短距離・短時間の利用を中心に利用の回転率をあげているとしている。アジア圏では台湾でもビジネスとして成立しているという。

 JTB首都圏の実験提案書によると「大手町・丸の内・有楽町地区の丸の内仲通りを中心とした社会実験エリアの歩道上に、概ね300m間隔で5箇所程度の貸出拠点を設置し、各拠点に10台程度の自転車を配置。返却ラックは設置自転車の倍(20台)程度を設け、一般用の駐輪施設も併設させてコミュニティサイクルを運営する。利用者は事前にクレジットカードによる登録を行い、各拠点では非接触IC端末や専用カードで個人認証ができる無人貸出機器による自転車の貸出を行う。初回登録料として1000円が必要。利用では最初の30分は無料で、以降10分単位で100円。3時間以降は5分100円とする」など、短時間利用を促がすシステムになっている。

 日本においては、道路での駐輪スペースの確保問題や坂道が多いなど地形の問題、既存の放置駐輪問題など解決すべき課題も多い。
(編集担当:福角忠夫)