木造校舎 資源の循環、環境保全につながる

2009年07月14日 11:00

 木材のぬくもりなどを学校教育施設に活かし、子どもたちへの教育効果を高めよう、と学校施設での木材の活用のあり方を研究する学校の木造設計を考える研究会第1回会合の内容が7月12日までに公表された。

 「学校施設に地域の木材を利用することは潤いのある学習・生活環境の実現に加え、地域の活性化や資源の循環利用、環境保全につながる」などの意見が出ていた。

 一方で、「鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りは建築コストの透明性が高く、積算も容易だが、木材は不透明。コストの透明性の確保は木造建築を進める上で乗り越えるべき大きな課題」との指摘もあった、としている。

 今後、研究会では事例に基づき、流通材を活かした木造施設のコスト抑制の工夫や設計内容によるコストの違い、維持管理面でのコスト抑制策、木造建築の強度面での課題などを探るほか、木造化に取り組みやすくするための方策を提起していきたい、としている。

 この研究会は林野庁が立ち上げたもので、第1回会合は7月2日に農林水産省会議室で開かれた。地方自治体が木造校舎を建てたり、施設の内装に木材を活用する場合の参考事例を提示することにより、学校施設の木造化に取組やすくなるようにしたい、と研究会の成果に期待している。「早ければ年内に、遅くとも年度内に成果をまとめたい」(林野庁林政部木材利用課)意向。

 研究会は長澤悟東洋大学工学部建築学科教授をはじめ、山辺豊彦山辺構造設計事務所代表取締役、加来照彦現代計画研究所取締役、飯島泰男秋田県立大学木材高度加工研究所教授、小林大介横浜国立大学教育人間科学部技術教育講座講師、岡田恒財団法人日本住宅・木材技術センター試験研究所長、青井秀樹独立行政法人森林総合研究所主任研究員、小崎正浩栃木県茂木町教育委員会生涯学習課課長補佐の8人で構成され、オブザーバーとして文部科学省と国土交通省が参加している。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)