人口の著しい減少に伴い、地域社会の活力低下や生産機能、生活環境の整備が困難な地域に総合的な特別措置を講じることにより地域の自立促進を図り、地域格差の是正や美しい国土の形成に寄与することなどを目的としている過疎地域自立促進特別措置法が来年3月31日に失効するのを前に、自民党政務調査会過疎対策特別委員会は今月、新過疎法制定に向けての基本的な考え方をまとめた。「我々はとことん過疎地域を支え、守る!」と強調する。
高齢化と過疎化が進み集落としての機能が崩壊する限界集落が増えるなか、都市と山間僻地集落との格差は加速度的に広がりつつある。
同党過疎対策特別委は過疎地域が「一部過疎やみなし過疎を含め730市町村あり、面積では国土の54%を占める状況で、ここに人口は1000万人あまり」と指摘。「人口減少の加速化をはじめ著しい高齢化、地域経済の停滞、社会資本・生活環境面での都市との格差など状況はさらに厳しい」として、新たな新法を制定し、地域間格差の拡大を防ぎ、過疎市町村の主体的、積極的な取組を支援する仕組みを構築しなければならない、としている。
具体的には統合小中学校に対する補助率のかさ上げをはじめ情報通信基盤の整備、生活環境整備、集落整備、定住促進・空き家改修、耕作放棄地などへの太陽光パネルの設置など新エネルギー導入などに対する補助事業など補助制度の充実を図るほか、過疎債の対象事業の拡大、生活交通の確保、地域医療の充実などソフト事業への支援、政府系金融機関による低利融資の充実、税制措置などをあげている。
また、対象地域については「市町村単位を基本とするものの、合併前の旧市町村単位での指定も可能にするような仕組みを設ける」としている。
過疎地においては市街化調整区域や農地法、農業振興法などによる網掛けなど土地の流動化を阻害している要因については現行法第24条でも「配慮すること」とされているが、過疎地指定を受けなければならないような状態の自治体でも過疎地として認定されていないために、こうした法規制を受け、結果として、土地の流動化が阻害されている。このため、都市部からの移住をし易くするような一層の規制緩和策をはじめ、新規に事業を起こせるような環境整備とこれによる雇用の創出、若者定住の環境づくりなど、支援策を超えた抜本的な改革が求められている。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)