米投資会社サーベラスは、西武ホールディングス(HD)に対しての株式公開買い付け(TOB)を、5月31日までに行った。
その結果、議決権ベースでの保有比率が35.48%となったことを明らかにした。この保有率では、株主総会での特別決議に拒否権を持つ3分の一は確保したものの、目標としていた取得上限44.67%には遠く及ばなかった。
両者の対立は、再上場時の、株式の売り出し価格を巡る思惑の違いに端を発し、早期の再上場を目指す西武HDに対し、約1千億円を出資したサーベラスはより高い利益確保するため、西武側に、「内部管理体制と企業価値の向上が再上場の前提」との主張を付きつけ、対立していた。
サーベラス側は、2度の期間延長にもかかわらず、目標としていた取得上限44.67%を大きく下回ったのは、カギを握るとされていた約1万3千人の個人株主を取り込むことができなかったことが大きな要因と言えよう。
サーベララスが、西武鉄道の不採算路線の廃止や、埼玉西武ライオンズ売却を打ち上げたため、個人株主の反感をかった。すぐにサーベラスは、「検討課題として挙げただけ」と否定したが遅かった。これで、サーベラスの西武HDに対する影響力は限定的になり、25日に行われる株主総会での取締役選任に必要な、出席者の過半数の賛成を得ることは難しい状況となった。
この取締役の提案には、サーベラス側は。幹部や元官僚など8人を推薦、一方西武HDは、社外取締役2人を含む3人を推薦している。その中でも注目されているのがサーベラスが候補として推薦している、五味広文氏。西武HDが上場廃止になった時の金融庁長官である。これには西武HDも猛反発、「監督側にいた人が経営陣にはいるのはどうか」との声があるのは確か。
株主総会における経営陣の主導権争い、の火種はまだ残っており、これからが本番といえよう。(編集担当:犬藤直也)