31人の派遣労働者 昨年労災で死亡

2009年05月29日 11:00

 平成20年中に派遣労働者が労働災害に遭い、31人が死亡、5600人が休業4日以上の重軽傷を負っていたことが厚生労働省の「派遣労働者の労働災害発生状況」のまとめで分かった。前年に比べ死者で5人、傷者で249人減少したものの、職場の安全管理が一層求められる。

 同省によると、数値は派遣元から提出された労働者死傷病報告をもとに集計したもので、平成17年では死傷者は2437人(うち死者27人)だったが、18年に3686人(うち死者34人)に増え、19年には5885人(うち死者36人)とさらに増えた。今回、19年に比べ254人(うち死者5人)の減少になったが、依然、高い水準になっている。

 死者31人のうち、16人が製造業に従事しており、建設業従事者の10人より多かった。また、商業が1人いた。

 死傷者(4574人)を業種別にみると、製造業が2965人と全体の64・8%、次いで運輸交通業が419人(全体の9・2%)、商業が347人(7・6%)、貨物取扱業が165人(3・6%)と、この4業種で85・2%を占めている。

 このうち、死傷者を最も多く出していた製造業について「死傷者の年齢構成」や「職場での経験」をみると、年代では30代が28・2%と最も多く、20代(25・0%)40代(22・8%)をあわせると76%を占めた。また、経験年数では3ケ月未満が32・1%と3人に1人。1年未満となると全体の62・9%を占め、過半数を超えた。

 事故の状況としては、はさまれた、巻き込まれたというケースが29・1%。転倒が15・6%、無理な動作が14・1%などが目立った。

 厚生労働省では景況が良くない状況が続いており、企業の労働災害防止対策への活動が停滞することも懸念されるとして「労働者の安全と健康を最優先する企業文化」(安全文化)を定着させるため、7月1日から7日までの全国安全週間では「定着させよう安全文化、つみ取ろう職場の危険」をスローガンに、啓発活動を展開したいとしている。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)