事業縮小や事業廃止で障害者にも解雇の風

2009年05月19日 11:00

 長引く景気低迷の中、就業環境が厳しさを増しているが、障害者の人たちも例外でなく、勤め先の事業所廃止や規模の縮小などを理由に解雇されるケースが増加していることが厚生労働省の調べで浮き彫りになった。同省では「昨年度下期から急増している」と報告している。

 同省が平成20年度のハローワークにおいての障害者の就職件数や解雇者数などをまとめた結果、顕著になったもので、解雇者数は平成18年度の1411人に比べ、20年度は2774人とほぼ倍になっており、特に、20年度上半期が787人だったのが、下半期には1987人と19年度分(1523人)を上回っていた。

 解雇の理由では昨年11月から今年3月までの月別データによると、事業の縮小に伴うものが63・8%(1188人)と最も多く、次いで、事業そのものの廃止によるものが23・1%(430人)となっており、事業廃止や縮小による理由が解雇理由全体の86・9%を占めた。

 同省ではハローワークの紹介により事業主と対象の障害者が有期雇用契約を結んだ場合、トライアル雇用(障害者試行雇用)として3ヶ月間を限度に事業者にトライアル雇用者1人につき、月4万円を支給する事業を推進するなど、一般常用雇用へのきっかけづくりや職場適応援助者による支援事業などを展開している。特に、「トライアル雇用」では20年度に8321人がトライアル雇用され、そのうち83・4%が常用雇用に移行していた。今年度も9500人を実施予定し、制度利用を呼びかけている。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)