経済社会の活性化と我が国産業競争力の強化を図るための「競争力人材の育成と確保にむけて」と題した提言を日本経済団体連合会がまとめた。
提言では「既成概念に捉われないアイデアやビジネス・モデルを構築・推進・下支えし、広義のイノベーションを起こしていくことのできる人材を製造業・非製造業を問わず、研究・開発段階から製造・販売の現場を通して、また、国籍に捉われることなく育成・確保することが重要」としている。
特に、国内での人材の育成・確保のために大学においての外国語能力や国際化対応能力を含めた教養教育の充実や教育機関と産業界がともに連携し、企業の人材ニーズの伝達、産学共同による人材育成プログラムの開発などを推進する。また、定期的な成績評価に基づく学生指導や大学卒業後一定期間を経た卒業生や就職先へのアンケート実施(毎年)などにより、学生の質の担保と受益者評価の導入を図る。大学が教育内容や目的の機能の多様化を進めるなど、大学が人材育成の場として重要な機能を果たすよう求めている。
このほか、中長期的な視点から、初等・中等段階での基礎学力の習得や理工系学問への関心を高める教育、小中学校時代からこどもがものづくりや創意工夫の魅力に触れる教育を充実させるよう求めている。
一方、外国人人財の育成・確保では多文化共生社会の形成を図る必要があり、政府は「多文化共生社会推進基本法」を制定するとともに、内閣総理大臣を推進本部長とする推進本部を設け、推進体制の整備につとめるべき、としている。そして、環境整備の例として、在留資格制度の見直しと公正・透明性の確保や永住許可要件の緩和、日本語教育の充実、社会保障制度の充実、在留管理・就労管理の徹底などを提言した。