一般用医薬品のネット販売が厚生労働省の省令施行に伴い6月1日から副作用の最も程度の低い第3類医薬品のみに限られることから、これに反対するネット販売業界では消費者の利益が損なわれるとして、「医薬品の通信販売の継続を求める」署名活動を行ってきたが、4月14日、三木谷浩史楽天代表取締役らが、反対署名100万人分を甘利明規制改革担当大臣に提出し、規制を行わないよう要請した。これに甘利大臣は「(3類医薬品のみと限定すれば、現在、購入している人のなかには購入できなくなる人も出てくるが)対面販売と同じような安全をどう担保するかということだ」との考えを示した、という。
しかし、厚生労働省では、医薬品という商品の特殊性から、安全性の確保が第一として「医薬品販売は対面販売が原則」とし、医薬品販売について薬剤師のほかに、第2類、第3類医薬品を販売することができる登録販売者制度を創設するなど、医薬品の販売制度そのものの見直しを図ってきた経過があり、そのうえでの、通信販売での販売規制(省令規定)だけに、安全性確保が対面販売と同程度に担保されるシステムができなければ認めることは難しいとの姿勢は変わっていない。
一方、僻地や離島など近くに薬局や薬店がない人のためにどうするか、通販で遠距離地から医薬品(第1類や第2類)を購入している人が6月から購入できなくなることに対してどうするかなどについて、現在、三木谷楽天代表取締役自身もメンバーとして参加している厚生労働省内の検討会で検討中であり、第4回会合が4月16日に開かれることになっており、ここでも、省令をめぐって激しい議論が交わされる。
三木谷氏は同社ホームページで署名活動への参加に謝辞を掲載するとともに「厚生労働省の検討会では、通信販売でのより安全な販売環境を確立するため業界におけるルール(安全策)を提案し、その実施を前提に通信販売の継続を求めています。日本薬剤師会などはあくまで対面販売にこだわっていますが、実質的に販売品目が限定される配置薬で十分代替できるとするなど、大変矛盾した主張になっています。厚生労働省の検討会で我々の考えをきちんと主張し、6月以降も医薬品の通信販売が継続できるように全力をつくします」と、運動への理解と協力、世論の後押しを求めている。