産婦人科、産科医の減少を防ぐ対策は?

2009年04月08日 11:00

 産婦人科医の減少が社会問題になりつつあることは周知の通りだ。出生率がわずかながらも上向き、少子化傾向に歯止めをかかる一方で、肝心の”産婦人科医”や”産む場所”の不足が問題となっている。

 厚生労働省が2年に1度行う「医師・歯科医師・薬剤師調査」よると、1984年から2008年の間に、医師総数は約17万人から25万人強と約32%も増加している。しかし、産婦人科医は、1万2181人から約15%も減少。また、産科と婦人科の内訳で医師数をみると、お産を扱わない婦人科に衣替えする医師が増え、産科医の数が減っている 。

 さらに、若手の産婦人科医が占める割合は厚生労働省の「年齢階級別医師構成割合」によると、29歳以下は8%程度にとどまっており、50歳以上が全体の約45%に達している。この原因として、初期臨床研修制度の導入により供給元となっていた大学病院自体に、産婦人科医が減少したことが指摘されている。今後、医師の高齢化問題も加わり、ますます産婦人科医師不足が加速することが予想される。

 日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会では、分娩の集約化構想、オープン、セミオープンシステムの導入、産婦人科医育成奨学金制度の設立、女性の健康週間の実施など、さまざまな取り組みをしてきた。しかし、産婦人科医減少に歯止めがかかるような有効策を打ち出すには至っていない。また、産婦人科診療体制自体も大きな変革期を迎えている。分娩取り扱い病院の急激な減少が深刻な事態となっているのだ。全国の卒後15年目以下の若手産婦人科勤務医師を対象とした厚生労働科学研究班の調査によると、産科医療をしたくないと感じている医師が27%。その産科診療をしたくないと答えた医師の理由はさまざまで、68%が「当直、不規則な診療時間など診療業務の負担が多い」、48%が「医療訴訟が多い」、続いて「産科の技術に自信がない」、「産科に興味がない」という答えが多かった。