多様化、活性化するクラウドファンディング

2013年06月05日 18:41

 インターネットとそれに伴うデバイスの飛躍的な普及と発展により、新しいビジネススタイルや、ビジネスモデルが生まれている。

 近年、注目を集めている「クラウドファンディング」は、その典型ともいえるもののひとつだ。別名ソーシャルファンディングともいわれ、映画やイベント、アート、ゲーム、フード、グッズ販売など、何かに挑戦しようとする人や団体が、インターネットを通じて、資金の提供や協力を募る手法である。

 2011年に日本初のクラウドファンディング「READYFOR?」がサービスを開始し、その後、「Campfire」、「Grow!」、「GREEN GIRL」「motion gallery」「Cerevo Dash」などの日本製クラウドファンディングが続々と名乗りを上げた。

 資金調達の方法としては、提供者に見返りのない「寄付型」や、作品や上映会などのイベントチケットなど金銭以外の見返りがある「購入型」、そして事業が成功すればいくらかの金銭的なリターンが約束された「投資型」に大きく分類され、さらにはクラウドファンディングサービスごとによっても特色がある。米massolutionが発表した世界のクラウドファンディング市場に関する調査レポートによると、2012年のクラウドファンディングの市場規模は前年比81パーセント増となる27億ドルに拡大しており、2013年には51億ドルに達すると予測されている。

 日本でも着実に注目度が高まっており、今年に入ってさらにこのビジネスモデルに参入する企業が増えている。
 
 Amebaブログ関連事業とインターネット広告代理店事業を展開するサイバーエージェント<4751>も、同社が100パーセント出資する事業子会社として、5月1日に株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングを設立。今夏からサービスを開始すると発表している。「Ameba」と連携し、掲載プロジェクトのプロモーションを支援することで、競合サービスとの差別化を図る。2014年3月時点で、月間調達総額1億円を目標に掲げており、後発組ながら、先行する競合サービスの大きな脅威となりそうだ。

 また、グーパ株式会社は、アニメーション分野に特化したクラウドファンディングサービス「Anipipo」ベータ版の提供を5月23日に開始した。こちらは、資金調達はもちろんのこと、クラウドファンディングを利用するもう一つの大きなメリットであるプロモーションやマーケティングにも重点を置いて展開する。

 クラウドファンディングは、まだまだ黎明期。魅力的である反面、この数年でサイトやサービスが乱立し、淘汰されていくだろうという見方もある。しかし上手くはまれば、今後、日本でもアメリカの成功事例同様、大きな成長の見込めるサービスではありそうだ。(編集担当:藤原伊織)