2012年全国企業倒産集計、件数は減少も負債額は増加

2013年01月16日 09:59

  英国の音楽ソフト販売会社HMVが販売不振で資金繰りに行き詰まり、事実上倒産したと報じられるなど、先進国における景気低迷が続き、今年も大型倒産が止まりそうにない。こうした中、帝国データバンクが2012年の全国企業倒産集計を発表した。

  全体としては、倒産件数が1万1129件と前年比2.1%減となったものの、6年連続で1万件を超えている。これは、中小企業金融円滑化法をはじめとする各種金融支援策の効果だと見られている。また、復興需要により建設業での倒産が大幅に減少したのが特徴的であり、東北は前年比43.8%減と大幅減少し、過去10年で最少となった。一方で負債総額は3兆7742億9400万円と前年比9.0%増と、2年ぶりに前年を上回っている。負債額のトップはエルピーダメモリで4480億3300万円。負債100億円を超える大型倒産も前年の27件から35件へと4年ぶりに増加、負債1000億円以上の超大型倒産も4件(前年3件)発生しており、上場企業の倒産も6件発生している。大型倒産が増加した要因としては、ゴルフ場の倒産が9件と多かったことが挙げられる。一方で、貸金業法改正後の資金調達環境悪化で、負債5000万円未満の小規模倒産は5765件の構成比51.8%と過去10年で最高となっている。なお放漫経営による倒産は133件と過去最少であった。

  金融円滑化法利用後倒産は前年の2倍超が判明しており、抜本的な経営改善計画の策定すらできていない中小企業も多く、「金融円滑化法利用後倒産」は2013年も増加していく見込みだという。また今年は、パナソニック やシャープ の経営不振が下請け先に影響し、全国にパナソニックの下請け先約3万1500社、シャープの下請け先約1万2000社の中からの倒産が増加すると見られている。その他、同日発表された東京商工リサーチの調査によると、ニーズの高いと見られる「老人福祉・介護事業」の倒産も4年ぶりに前年を上回るなど、業界に関係なく倒産による企業淘汰は進んでいる。今年も倒産件数は増加すると見込まれているが、状況が好転し、その予測を覆してくれることを期待したい。(編集担当:井畑学)