住友化学と住友商事などがCO2分離事業参入で新会社を設立

2012年10月17日 11:00

 住友化学、住友商事およびルネッサンス・エナジー・リサーチ(ルネッサンス社)が、CO2を選択的に透過する膜を用いた「膜分離法」によるCO2分離事業への参入に向け、合弁会社を設立すると発表。資本金は8億円で、出資比率は住友化学47.5%、住友商事47.5%、ルネッサンス社5%。量産体制や事業モデルの確立などの検討を進めるとともに実証試験などを実施し、1年以内を目途に本格的な事業化を目指す。

 CO2を分離する技術は、主に水素の製造や天然ガスの精製において、目的のガスからCO2を除去するために使われている。しかし現在実用化されている「化学吸収法」や「物理吸収法」といったCO2分離技術は、多くの熱エネルギーや大型の設備が必要なため、低コスト化が大きな課題となっていた。こうした課題を解決すべく3社は、ルネッサンス社が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や近畿経済産業局の支援を得て開発したCO2選択透過膜をもとに、プロセスがシンプルでエネルギー消費を大幅に削減できる「膜分離法」について、技術的検討や市場調査を実施していた。その結果、世界最高水準の分離能力を有するCO2選択透過膜の開発に成功しその優位性が確認できたことから、新会社を設立するに至ったという。

 CO2を回収し、地中に貯留する技術(CCS)に関しても、コストの過半を占めるといわれるCO2の分離・回収コストを抑えるという観点から「膜分離法」が期待されているという。新興国においては経済発展や中小ガス田開発の増加などに伴い、先進国においても燃料電池の普及や天然ガスの利用拡大、そして温室効果ガス削減など、CO2分離技術の活躍の場は多岐にわたる。その為、CO2分離事業の市場規模は世界全体で年間約3兆円と推定されているが、更なる拡大も見込まれる。この市場がどこまで拡大し、日本企業がどれだけその波に乗れるのか、注目に値するであろう。