PC・スマホ時代、製薬会社がすすめる目のケアとは

2013年06月08日 19:48

 携帯電話の端末では世界最大規模のシェアを誇るフィンランドの電気通信機器メーカーNOKIAが、1996年に世界初の携帯電話+PDA機「Nokia 9000 Communicator」発表した時、世の中にはまだ、スマートフォンという言葉は存在していなかった。

 スマートフォンの存在を世に知らしめることになったのはやはり、2007年に米アップルが発売したiphoneによるところが大きいだろう。以来、スマホは爆発的な普及を遂げ、従来型の携帯電話はガラパゴス携帯などと揶揄されるほどになってしまった。

 メディア視聴行動分析サービスを提供するニールセン株式会社が発表したスマートフォン・メディア利用実態調査レポートによると、スマートフォンの利用率の伸びは2012年後半から加速し、12年の1月には17パーセントだったインターネット利用率が10月に従来型携帯電話の利用率を追い越し、13年1月には35パーセントにまで倍増している。

 また、それに伴って利用時間も増大しており、一人あたりの月間利用時間は、男性で約34時間、女性はなんと、男性の1.4倍の47時間にのぼる。毎日平均で1.5時間以上はスマホと向き合っている計算だ。さらに職場や学校、家庭でPCを利用する時間、テレビを視聴する時間なども考えると、一日の大半の時間を、何らかの液晶画面を凝視していることに費やしている人は珍しくない。

 そんな生活がごく一般的なものになりつつある現代社会において、目への負担やトラブルが増大しているのは当然ともいえる現象だ。とくに、疲れ目や眼精疲労、ドライアイの症状を訴える人が急増しており、深刻な社会問題になりつつある。

 充分な睡眠をとったり、少し目を休ませれば症状が和らぐ「疲れ目」のうちはまだしも、それが日常化、慢性化すると、やがて「眼精疲労」と呼ばれる状態になり、少々目を休ませただけでは治らなくなってしまう。目の疲れや痛みをはじめ、視界がかすんだり、視力の低下を招いたり、頭痛や嘔吐、肩こりや精神の不安定なども引き起こすといわれている。

 職場や学校などでも手軽に眼病をケアできる方法としては目薬があるが、さらに意識の高い人に愛用されているのが洗眼薬だ。

 代表的なものとしては、小林製薬<4967>の「アイボン」シリーズや、第一三共<4568>の「フレッシュアイAG」、そしてロート製薬<4527>の「ロートフラッシュ」シリーズなどが挙げられる。これらの大手製薬メーカーも、スマホやPCの普及によって今後も洗眼薬の需要が増大することを見越しており、より使いや易く、洗浄効率の高い洗眼薬の開発に勤しんでいる。

 中でも、ロート製薬は早くから洗眼薬の容器にこだわり、03年に下向きでも使える「ぷにょカップ」を開発して話題となったが、これをさらに改良した「イージーカップ」を採用したロートフラッシュを7月1日より発売する。

 「イージーカップ」の利点は、カップの側面をつまむことで薬液を対流させ、しっかりともみ洗いして汚れを洗浄することができること。さらに、下向きでも使えるので、上向きが苦手な人でも楽に洗眼できる。

 また、好評だった「ぷにょカップ」の特長を継承しながらも、カップが自立できるようにしたり、ぷにょカップよりもカップ径を大きくして、フィット感を高め、液漏れを防ぐなど改善点もみられ、より使いやすくなっているようだ。

 富士経済が刊行している「一般用医薬品データブック2013 vol.2」によると、洗眼薬の市場は2012年度で約64億円となっており、安定した市場であることが窺える。また、PCやスマホなどの利用者増加を鑑みても、これから益々、目のトラブルが社会問題化し、それに伴って目のケアへの関心が高まることは容易に想像できる。製薬メーカー各社も、成分内容はもちろん、さらに使いやすさや効率の良さで差別化を図ってくるだろう。

 目が疲れると、それだけで気分も重くなってしまうものだ。仕事や勉強の能率も下がるし、それがさらに目を酷使する状況へと追い立てる要因になる。進行すれば、眼精疲労やテクノストレス症候群などの重篤な病に陥ってしまうこともある。かといって、今更、PCやスマホと隔絶した生活は考えられないという人も多いだろう。

 それならばせめて、洗眼で一日の疲れを癒すことくらいは、大切な目のためにも意識したいものだ。(編集担当:藤原伊織)