社会保障制度改革の議論は進んでいるか

2013年06月09日 17:31

 アベノミクスの経済政策ばかりが注目されるきらいがある安倍政権だが、社会保障制度改革はどうなのだろうか。テレビ等のメディアが報じないだけで着々と進んでいるようだ。2012年8月、民主・自民・公明の三党合意に基づく社会保障制度改革推進法が成立し、それを根拠として野田内閣解散直後の11月30日に「社会保障制度改革国民会議」が設置された。安倍政権のもと、今月3日までに13回の会議が開催されている。

 これまで社会保障制度改革全体の議論から始まり、各論として医療・介護分野、少子化対策分野を経て、第12回からはテーマは年金分野に移った。

 年金分野では、まずはどのような年金の将来像を描いたとしても対応すべき現行制度の改善に取り組むこと、年金財政を健全化する改革に早く着手して、年金制度を長持ちさせ、将来世代に財政的なツケを残さないようにすることが基本的な考えとされている。

 年金財政健全化という点からは、厚生年金の適用拡大、国民年金保険料の給料からの天引き等が議論されている。さらに、マイナンバー制の導入によって所得把握が明確になれば定率保険料を徴収できる取り組みも必要であるという意見も出された。

 厚生年金の適用拡大については、14年8月に三党協議による修正を経て、年金法の改正がなされている。パートなどの短時間労働者は現在、週の労働時間が30時間に満たない場合は厚生年金への加入義務はない。いわゆる「4分の3ルール」というもので、正社員の法定労働時間である週40時間に対する割合を意味する。改正では、平成28年10月からは、この30時間が20時間になる。

 もっとも、時間だけで判断するのではなく、月額賃金88,000円以上(年収106万円以上)、勤務期間1年以上の2点も要件とし、学生は適用除外、適用する企業規模は従業員501人以上としている。国民会議では、この改正内容にさらに必要な措置を講じるための議論がなされているのである。本来、パートの主婦の場合、扶養されていれば国民年金の第3号被保険者となり、保険料納付義務はない。しかし、年収130万円以上の場合等、扶養されていないことが認められれば、労働時間が短くとも保険料の納付義務がある第1号被保険者の扱いになる。近年、こうした第1号被保険者であるべき専業主婦ではない第3号被保険者が増加している。このことを踏まえて、厚生年金の適用拡大により、第3号被保険者制度を縮小していこうというわけである。国民年金保険料もパートの勤務先の事業所で給料から天引きしてもらえば確実に収納できる。

 国民会議は今年の8月31日までの設立となっており、それまでには詳細がまとまることになる。(編集担当:坪義生)