日本版ニューディールの推進を 日本経団連

2009年02月13日 11:00

 (社)日本経済団体連合会が雇用の安定・創出と成長力強化につながる国家的プロジェクトの実施へ「日本版ニューディールの推進を求める」との提言を発表。雇用の維持・安定の取り組みとセーフティネットの拡充、国家的プロジェクトの推進では産業競争力の強化、国民生活の向上、地域の活性化、低炭素・循環型社会の実現についてそれぞれ、取り組むべきことをあげている。

 雇用の維持・安定の取り組みとセーフティネットの拡充では「雇用創出が見込まれる分野への円滑な労働移動と人材の定着に向け、必要とされる技能と技術を獲得・向上できる公的訓練プログラムの開発・実施を急ぐとともに、ワンストップで職業紹介までを行える拠点を整備し、労働力需給調整機能を強化すべきである。訓練プログラムの充実にあたっては、訓練施設の提供など、企業も積極的に貢献すべき」また「ジョブカード制度の活用促進に向け、ICカード化を行うべき」「セーフティネットからもれる離職者が増加している。まず、従業員の社会・労働保険の加入などの徹底を図るべき。また、派遣先のコンプライアンスは当然のこと、派遣元等の取引先にもコンプライアンスの徹底を求めていくことが不可欠。さらに、職業訓練の受講を条件に、一般財源を活用して生活保障のために暫定的に給付を行う仕組みを速やかに検討すべき」としている。

 また、地域活性では「農業や観光分野において、地域の持つ資源の有効活用や高度化を進めることにより、地域経済の活力の回復と、新規雇用の創出を図ることが可能。とりわけ農業分野においては耕作放棄地の再生活用や農商工連携の拡大などの分野で大きなポテンシャルがある。特区制度の活用も視野に入れつつ、政府の積極的な支援により、その顕在化を図るべき」と提言。「道州制推進基本法(仮称)を早期に成立させ、道州制の導入に向けた具体的な工程表を国民に示すとともに、その着実な推進を図る」ことも求めている。

 御手洗冨士夫経団連会長は「国難ともいえる現下の経済情勢を打開し、活力ある日本経済を実現していくために、官民一体で取り組むべき国家的プロジェクトの推進を求めるもので、雇用の維持・安定に力点を置いているほか、環境問題への対応など、将来の経済成長や雇用創出に結びつく長期的な視野に立った政策メニューとなっている」と今回の提言を評している。