遠隔予防医療相談システム実証実験始まる

2008年12月09日 11:00

 高齢化が進んだ地域や過疎地域では、医師不足や予防医療の不足に直面しており、この問題の解決策のひとつとして、遠隔医療の利用が問題解決の有効な選択肢であると期待されることから、慶應義塾大学は、同大学の「コ・モビリティ社会の創成プロジェクト」(担当責任者・金子郁容同大学大学院政策・メディア研究科委員長)の一環として、日本電気、KDDIと共同して「遠隔予防医療相談システム」の実証実験を東京都西多摩郡奥多摩町の協力を得て、11月12日からスタートさせている。NECが12月8日、発表した。

 発表によると、3者は本実証実験のためにコミュニケーション端末(ユニファイドコミュニケーション(R)対応型相談端末)・タッチパネル型端末・血液レオロジー測定装置(いわゆる血液サラサラ測定)・携帯電話・インターネットなどを組み合わせた「遠隔予防医療相談システム」を新たに開発。

 このシステムでは「地域集会所等に常設したコミュニケーション端末と都心部のクリニック・健康センターをネットワークで結び、地域集会所等で採血した血液のサラサラ度合いを都心から遠隔で診断したり、健康状態を定期的に管理し指導することで、住民の健康維持・向上や安心安全な町創りへの効果と有用性を実証する」としている。

 「血液サラサラ度合いがわかる動画を遠隔で住民と医師が共有するのは、世界でも初めての試み」という。実験期間は11月12日から来年3月31日まで。

 NECによると、奥多摩町は人口6000人余の町で高齢化率は30%を超えている。山間部が多く移動に時間がかかるため、住民は医療施設利用に困難を伴っており、今回の実証実験には65歳以上の住民を中心に100人が参加を希望。

 地域集会所や公民館などにコミュニケーション端末や血液レオロジー測定装置を常設し、採血した血液のサラサラ度合いを血液レオロジー測定装置で検出、その検出データをインターネットで都心の医師に送信。住民と医師や健康コンシェルジュスタッフが血液データをはじめとする健康データをコミュニケーション端末の画面上で共有しながら、健康相談や助言などを行う。医師と定期的に話すことで住民の安心感を高め、中長期的には自治体の医療費負担の削減につなげることを目標としている。